クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

読書

あとは死ぬだけと言える人生

『カヌーイスト野田知佑メモリアルブック』を入手した。 内容は大判の写真と過去の著作の抜粋で、目新しいところはないものの、「ああ、野田さんが亡くなったんだなあ」としみじみ感じた。 そうは言っても野田さんと私は全く面識はない。相方は「川の学校」…

居酒屋と食い物の恨み

先日、久しぶりに同期で集まって飲み会をした。思えば入社時はみんなで安居酒屋チェーンか何かでわっと集まったのが、もはや残るところ数名となってしまい、みんなオッサン、オバサンとなってしまった。 今回は唯一の女子が一人では行かない「いい所」に行き…

藤井名人の誕生なるか

週末のパックラフトの話から本日はいきなり将棋の話に変わる。 藤井竜王が名人戦3勝目ということで、いよいよ最年少名人と七冠に近づいた。 過去唯一の七冠制覇はもちろん羽生善治。今、河口俊彦『覇者の一手』を読むと羽生善治の七冠ロードがよくわかる。…

大人の必須科目と小学生の必須科目

昨日、小学生の必須科目は、国語と歴史と体験だと書いた。 それでは大人はどんなもんかいなと考えると、あまり変わらない気がする。ただ、これに加えるとしたら数字・数学だなと思う。 かつて会社の役員をやっていた人が「数字を読むのは感性だ。感性がない…

お金に頼らず生きるには

服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』を読んだ。 サブタイトルに(14歳の世渡り術)とあるとおり、中学生でもわかるくらいの平易な言葉で書かれている。 内容は廃村の古民家を手に入れた著者ができるだけお金を使わずに生活をできるかに挑戦する話だ。そう…

暇があるときゃ、どうしよう?

今日もお仕事なのである。そんなわけで天気が良くて悔しい。 「貧乏暇なし」と言うが、現実は坂本九の歌にあるとおり「金があるときゃ暇がない、暇があるときゃ金がない」のである。 沢木耕太郎はエッセイの中で暇をうっちゃるのが苦手だと書いていた。この…

若いころにお金のある不幸、お金のない不幸

相方の古い知り合いに「寅さん」という人がいる。寅さんは本名ではなく、「男はつらいよ」のフーテンの寅に似ていることからのニックネームだが、もはや私は本名を知らない。その寅さんの言葉に 「若いころに金があるのと年を取ってから金がないのは不幸だ」…

天気予報が気になる日

今年のゴールデンウィークの天気はかなり不順のようだ。 相方なんかに言わせると、私は用もないのによく天気予報を見ているらしい。日がな事務所にいる予定でも「明日は雨だ」とか「風が強い」とか言っている。確かに山の山頂付近の風速が5mだろうが30mだろ…

子どもの葛藤と野田知佑さんの言葉

週末、カヌーを見に行って思い出したことを書き留めておこう。 山ばかりに行っていた私がカヌーに興味を持ったのは野田知佑さんの本を読んだからだ。ぜひとも本人にもお会いしたいと思ったが、叶うことはなかった。代わりに相方をけしかけたところ、相方は野…

「頭でっかち」になろう

ここのところ、図書館で本を借りては積み上げて読んでいる。 今はニーアル・ファーガソン『マネーの進化史』、野口悠紀雄『だから古典は面白い』、村松友視『帝国ホテルの不思議』など、まるで脈絡もなく併読している。 『マネーの進化史』はその前に読んだ…

中国人と日本人の気質の違いのもとは?

日曜日は2時間半ほどランニングをして、疲れたので本を読みつつダラりんとしてしまった。 今読んでいるのは岡本隆司『教養としての中国史』。「教養としての~」シリーズには他にフランス史とローマ史があって、フランス史もなかなか面白い。 教養としての…

寒波がやって来た!

この冬最大の寒波が来たらしい。 前日から備えとして極暖の長袖シャツと安物のタイツを用意することとする。本当は地番暖かいダウンジャケットの方がいいのだが、着膨れするので去年買ったモンベルのコート。これもインナーダウン内蔵でそこそこ暖かい。 末…

旅に最適の本を探す

旅行の準備で迷うのがお供の本である。 この夏は雲ノ平山行に笹本稜平『春を背負って』を持って行ったら失敗だった。映画版は立山周辺で撮影されたのでいいかなと思っていたのだが、頭に入ってこない。台詞がわざとらしく、浮ついたように見えるのだ。これは…

「星野道夫 悠久の時を旅する」展を見に行った

星野道夫展を見に東京都立写真館に行ってきた。 都立写真館は岩合光昭展以来で、なんだか動物写真ばかり見に行っている気がする。 星野道夫展は10年くらい前に横浜そごうで見て以来。没後もこれだけ写真展の開かれる写真家は少ないかもしれない。 先日見た岩…

和暦・西暦に混乱する

先日、生年月日をマークシートに入れろと言われて戸惑ってしまった。 西暦の下2桁をマークして、見直すと「生年月日(和暦)」とある。 「あれ、和暦だと何だっけ?」 と混乱し、ようやく思い出してマーク。同姓同名の区別のためだろうけど、昭和も平成も書…

投資と投機と賭博の違い

先週は沢木耕太郎『波の音が消えるまで』の1巻を読んだ。 主人公はサーファーの青年で、どういうわけかマカオに行ってバカラ賭博にハマってしまう。バカラとはトランプを使った丁半博打のようなもので、簡単に言うと出たカードの下の桁合計が大きい方が勝ち…

「最高のぜいたく」について考える③~居候の美学

先日、ラジオ番組にタモリが出ていて思わず聞き入ってしまった。 タモリは昔、赤塚不二夫のところで居候していたらしい。その頃の言い分が面白い。 「居候はペコペコしちゃいけない。こっちは居候のプロなんだから」 居候にプロもアマチュアもあるのか知らな…

「最高のぜいたく」について考える①

星新一のショートショート『最高のぜいたく』という話を読んだ。 寒い北国にいるアール氏を主人公が訪ねる。アール氏はあらゆるぜいたくやり尽くしている大富豪で、今度は何を思いついたのかと主人公は楽しみにしている。訪れると寒い北国に温室があり、中は…

ビジネスにおけるリーダーシップと登山

この間、上司から「どんな管理職を目指す?」と訊かれて思わず返事に窮してしまった。窮してはいけないのだろうが、どう答えていいかわからなかった。 今まで私は理想のリーダーに会ったことがない気がするのだ。 どうも日本の管理職という人を見ていると、…

お金を産む方法~お金とは何だろう?⑤

前回、「錬金術」と銘打ってそのことに触れていなかった気がする。 金融機関は数字をいじることでお金を生み出すことができる。しかし、もっと大本をたどれば国はお金を発行できるのだ。実際、通貨を大量に発行した例は歴史上枚挙にいとまがないし、今でも輪…

現代の錬金術とは~お金とは何だろう?④

数年前にジョン・グリシャムの"The Firm"(邦題『法律事務所』)という本を読んだ。主人公のミッチという弁護士が好待遇の法律事務所に就職する。しかし、そこはマフィアの運営する事務所で、次々と同僚たちが事件に巻き込まれていく。 その中で印象的だった…

愛はお金で買えるか~お金とは何だろう?②

スピッツの「運命の人」という歌にこんな歌詞がある。 愛はコンビニでも買えるけれどもう少し探そうよ 不思議な言葉だと思う。草野さんの透明感のある声でさらっと聞き流してしまうが、何を言わんとしているか考えてしまう。 一方でThe Beatlesには"Can't Bu…

お金は信じることから始まる~お金とは何だろう?①

随分前にラジオで百田尚樹がこんなこと言っていた。 「俺はきれいなおねえちゃんに振り回されてきた。『きれい』って何なんやろということでこの本を書いたんです」 この本というのは美容整形をテーマにした『モンスター』という小説だという。 人の一生を狂…

最近読んだ本2つ~宮崎市定『科挙』・沢木耕太郎『イルカと墜落』

最近、天候不順で梅雨時期並みに出かけにくい。特に山間は何かと豪雨というので困ってしまう。仕方ないので自宅でスクワットをしながら本を読む日々が続いている。 そんな中で最近読んだ本3つのご紹介。 ①宮崎市定『科挙』 前にも書いた気がする。改めて図…

図書館放浪記

ここのところ最も行くところは図書館となっている。市内で利用できる図書館は5ヶ所。そのうち4ヶ所を利用している。 特別読書家というわけでもないのだけど、非常にありがたい。なにしろ買わなくていいし、買って「ああ失敗した!」とならない。ちょっと興…

食生活と健康法の謎

週末は背中痛が全快しないので、のんびり過ごした。 土曜は新宿の末広亭で寄席を聞いた後に久しぶりに焼き鳥を食べに行った。日曜はブリの切り身で唐揚げ。日曜はスペアリブの煮付け。少しこってりした食事が多かったかもしれない。 宮古島に行って以来凝っ…

疲れている時のオススメ本 三選

最近疲れている。 「お前ごときが何を!」と言われれば反論しようがないのだが、こういう時は頑張り過ぎないことが肝心。それと難しいことを考えすぎない方がいい。 のほほんとした気分になれるオススメ本について紹介したい。 ①小泉武夫『不味い』 古今東西…

河野啓『デス・ゾーン』

河野啓『デス・ゾーン』を読んだ。 「栗城史多のエベレスト劇場」というサブタイトルのあるとおり、2018年にエベレストで滑落死した栗城史多がテーマとなっている。 読後感はなんともザラりとしている。 栗城史多についても、本書についても至る所で評論され…

文系人間の理系コンプレックス

ここのところ本は図書館で借りることが多い。 買うとなると失敗したくないので、無難に知っている作家や確実なジャンルを選んでしまう。それが図書館では意外な本でも手が伸びる。単にタダだと思うからなのだが。 そんなわけで梅雨時は読書である。 ハイエク…

魂の震える登山名文集④~角幡唯介

今から5、6年くらい前、年間24回登山に行っていた。つまり月2回ということになるのだが、週末登山者としては行ける時を全て費やしたことになる。 登山は天気が悪ければ行けないし、休日出勤もある。山に行かない日はボルダリングジムへ行っていた。 当然…