クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

愛はあるか?ロマンはあるか?〜礼文・愛とロマンのコース①

登山道には時折変わったキャッチコピーを持つものがある。

代表は剱岳・早月尾根で、「試練と憧れ」という石碑が登山口である馬場島にある。その他、私の好きな甲斐駒ヶ岳・黒戸尾根は深田久弥が「日本アルプスで一番つらい登り」と評していて、元来登山コースの評は困難さが基準になっているのかと思っていた。

まあ楽な道に評はできまいし、楽だ楽だと書いていて、遭難者でも出たら目も当てられないだろう。

 

今回、北海道旅行に際しては利尻山を除くと大して目標もなかったが、礼文に行った際は「愛とロマンのコース」を行ってみようという気になった。

「愛とロマン」なのだから、「試練と憧れ」と真逆のヤッホーなコースと思って選んだというのが正直なところだ。しかしながら、コースをよく見ると別称は「8時間コース」となっている。8時間となると縦走でも1日がかり。さらによく見ると礼文島の西部を南北に縦走するこのコースにエスケープルートはない。地形図をさらに詳しく見ても、エスケープするには谷を遡行するとか、道なき道を藪こぎするとかのワイルドな手段を用いることしかできないのは明らかだった。

しかし、私たちは何となく観光ガイドに載っているという安易な理由でフラフラと「愛とロマン」吸い寄せられたのだった。

 

愛とロマンの出発点はスコトン岬である。「須古頓」と書いてスコトン。我が相方は「ズンドコ」はたまた「スントコ」だと思っていたらしい。

「私、”ズンドコ”って言ってないよ!」

と力んでいたので、「スントコ」を正解だと思っているのに違いない。

閑話休題。テント場である久種湖キャンプ場から10km以上歩いてスコトン岬に着き、ようやくスタートラインに着いた。

ここからが本当のスタートである。

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嵐の予感。スコトン岬

 

山と高原地図」にはスコトン岬をスタートにする人が多いと書いてあった。

それに従って、適当にスタートしたわけだが、その適当こそが災いすることになることをその時は知らなかった。