先日、法事に出て最後にお経を上げたお坊さんがこんな話をした。
「仏教の漢字では井戸の「井」という字の真ん中に点を入れた字は、より清らかな水があるということを意味します。したがって、この字が入ったお名前(戒名)の方もおられます」
「丼」という文字の入った戒名があるらしい。これを見たら故人は何と言うだろう。案外「食うことを好きだったからか!?確かに丼は好きだ。いや、面白い名をもらった」ということになるかもしれない。
法事の厳粛なお話を書き出しにしてはなんだが、北海道旅行での「丼」について書きたい。
⑥小樽の海鮮丼
利尻・礼文で山ばかり行きつつのキャンプ生活の後、稚内と小樽で休養した。
いくら新鮮なウニ、ホッケ、ホタテを食べたとはいえ、登山と組み合わせると疲労も激しいし、昼は行動食のみという苛烈なものになってしまう。疲れて風呂にも入らずに寝袋で寝てしまうので衛生面もよくない。
小樽では宝川という日本酒の醸造所を見学し、オルゴール館やガラス工芸を見てから海鮮丼を頂戴した。
利尻・礼文の食事処では、ウニはあったのに海鮮丼はあまりない。貝類だけは豊富で、魚があまり並ばないのは漁港に大型船がないからかもしれない。
小樽はその点で海鮮、特に刺身も豊富だ。とびきり安いわけでもないが、新鮮さでは東京の場外市場を上回るし、小樽のレトロな街並み見てから食べるのは旅情という調味料が加味される。
これはガラス工芸の北一硝子の店が並ぶ堺町通り近辺の店で食べた。
甘エビ、ホタテ、イクラ、トビコ、サケ、マグロ、イカが並んで1400円ほど。甘エビとホタテは利尻で食べた方が美味しかったかな。
まあ色々乗せてくれた丼の方が楽しいのでヨシとしよう。
小樽に着いた日とその翌朝の2食連続で海鮮丼となった。利尻ではなかったカニが加わる。
これは小樽駅近くの三角市場の中の店で食べた。ボリュームは堺町の店より多く、朝から腹一杯である。
カニがこの野郎とばかりに入っていてお得感があり、これは1700円だった。イカの干物とお味噌汁が付くけど油断すると満腹で食べられなくなる。
丼のよいところは、とにかく満腹になることである。
カロリーオフが賛美される世の中ではあるが、食わねば動かないのが人間だ。礼文でトレッキングをした時は行動時間が久しぶりに長くなり、途中途中でエネルギー切れになりそうになった。
北の大地ではたくさん食ってたくさん動いて楽しむものなのだ。
そんな言い訳をしつつ北海道では丼から焼き物から色々食べて煩悩の塊になってしまった。しばらくは井の中の清らかな水で欲を薄めるべきだろうか。
まあまた美味い食べ物と美味しい空気を食いにいそいそと出かけるに違いない。