クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

小樽と屋久島の飛び魚

人類の歴史は何かと言えば、ズバリ食の歴史である。人は死ぬまで食わなくてはならない。人類の歴史は戦争の歴史とも言えるが、戦争も食わねばできない。空腹では何もできないのだ。

 

それにしてもいろいろ食うのが日本人で、小樽の三角市場でもいろいろ珍しいものがあった。

それがこれ。八角という飛び魚の仲間らしい。北海道最終日の朝はこれを刺身でいただいた。

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味は淡泊ながら歯ごたえがあって、噛むとジワリと旨味が広がる。

「うほっ!」

と声が出た。飛び魚のヒレを残してお造りにしてくれるところが嬉しい。ヒレががないと何の魚かわからなくなる。ヒレなくして活けれたりしたら八角くんも草葉の陰で悔し涙を流すことだろう。

 

さて、数年前に南でも飛び魚を食べた。

食べたのは屋久島で、名物は飛び魚と首折れ鯖。飛び魚は投宿したユースホステルの近くにあった店で、観光客向けという感じだったが、なかなかにぎわっていた。

屋久島の焼酎・三岳とともにいただく。

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これもヒレがあって嬉しい。

ただ、味はわりと淡泊なので、焼くと普通の焼き魚。サンマのような脂もイワシのような臭みもなく、癖のない身は悪くはないのだが、少し物足りなかった。

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翌日、今度は屋久島空港で飛び魚を揚げたものを食べたら、これは見事に美味い。淡泊なところを衣が補っている。屋久島最後にいい舌の土産になった。

 

北と南の飛び魚対決は、まあ北海道に分がありそうだが引き分けとしよう。

北海道に行って改めて思ったのが、何でも喰うのが日本人である。ウニしかり、ホッキ貝しかり。われわれは死ぬまで食うのだから、食うことを楽しむと人生も何割か豊かになることだけは間違いない。