山の特殊用語にはいろいろある。「キジ撃ち」なんかはその典型で、野糞を指すわけだが、一般登山道で野糞をすると怒られるので実際に使っているのを聞いたことがない。
そんなあまり使われない用語の一つに「武器」というのがある。カトラリー、つまり食事用のフォークとかスプーンとかの道具を指す。なぜ武器と言うか正確なところは知らないが、食事は「戦い」ということだろう。
北海道旅でも厳冬期の甲斐駒ヶ岳でも最近は変わらない。
①箸・・・ベルモント
②スプーン・・・『岳人』のおまけでもらったスプーン&フォーク
いきなり言ってしまう。箸が一番使いやすい。
「スープはどうする?ご飯ものもスプーンが使いやすいぞ!」
という意見もあろうけど、スプーンで麺は食べられない。フォークは便利なようでちぎることができない。スープは容器ですすればいいのだ。
特に北海道ではホタテ、カキなどの貝類を楽しんだので、箸が便利だった。フォークやナイフでこれらを切ると、中の汁がどわーっと流出してしまう。箸で切ると最小限にとどめられる。
ちなみに私が使っているのはベルモントの箸。昔、広島を去る時に餞別でもらったものだ。アウトドアと無縁の職場で、山好きだからと買ってきてくれたらしく、非常にうれしかった。
アウトドア用箸にはモンベルの「野箸」という商品が有名で、相方も使っている。ただ、野箸は先端と手で持つ部分を分離し、持ち手に先端を収める形で収納するので、どうも先端部分をなくしそうだ。
私のベルモントは先端を持ち手から伸ばす形なので分離・紛失の恐れがないところがいいところだ。
とはいえ、スプーンがほしいこともある。
私はあまり食べたことがないけどアルファ米とか。一応、対応するために『岳人』のおまけでもらった折りたたみのスプーン&フォークを持って行く。
以前、Light My Fireのスポーク(ベルモントの箸の隣)を使っていたら、ぽっきり折れたことがある。扱いが雑なんだろうけど、あまりにあっけないので、怖くて2本目を使えない(買ったとき2本組だった)。
その代わりに使っているのが岳人スプーン&フォークでこれは肉抜きされていて、よほど壊れやすそうなのに、なかなか丈夫だ。ケースにしまうからかもしれない。
テントでの飯はうまい。テントで寝る話から食う話をして、単に怠惰な奴と思われそうだ。その通り、私が山に登る理由は寝ること、食うことがより楽しくなるからである。
寝ること、食うことこそ人生そのものかもしれない。