今回の北八ヶ岳山行は昼頃下山となった。渋の湯から10時30分のバスに乗り、11時30分ごろには茅野駅。特急券を買い、11時39分のあずさ号に乗って東京へ帰る。
帰る時がなにより名残惜しい。
名残を惜しむべくたまに食べるのが駅弁。「名物に美味いものなし」という格言(と言っていいのかな)があるように、期待してガッカリすることは度々あった。
駅弁もまあ美味いものもあるけれど、冷めているので絶品というものは少ない。少ないものの、性懲りもなく期待して買うのが駅弁で、私はたまの贅沢を旗印に買っては勝手にガッカリしている。
今回はややガッカリした(心中はかなりガッカリ)した駅弁を紹介したい。
八ヶ岳たまごサンド
今回テーマとして取り上げた理由はこれ。北八ヶ岳山行の帰りに買ったこのたまごサンドにある。
帰りの電車は11時39分発のあずさ号。バスを31分に下りたので、バタバタである。切符買って、ホームに降りて、駅弁屋に向かった。
相方は鳥弁。私はたまご牛弁当にしようと思った。ちなみに現物はこちら。
以前食べて満足度が高かった。
今回もこれだこれだと思っていたら、注文しようとする私の目の前に1人のおじさんが立ちふさがった。
そうは言ってもおじさんは注文するでもなく狭い店内を眺めている。時間が迫り、定刻まであと3分。
おじさんが立ち退くや(おじさんは結局何も買わなかった)、私は注文した。
「鳥弁当とたまごサンド!」
なんでこうなったか自分でもわからないのだが、「たまごサンド」を買っていた。目の前にあった文字を何気なく読んでいた。
さて、見た目は卵焼きをパンで挟んだもの。それ以上でもそれ以下でもない。
食べてみた。卵焼きをパンで挟んだものだった。
相方にあげると
「卵好きにはいいんだろうねー」
と言いながら一口で返してきた。残り十口分くらいある。
関西人である私の卵焼きに対する好みは出汁巻である。ほんのり香るカツオ。柔らかで崩れそうな食感。
何より崩れそうでありながら、ふわふわに、絶妙なバランスで内側からくるくる巻き上げているのがいい。
それに対してこのたまごサンドは固い、存在感は抜群の「ザッたまご!」なのだ。味は砂糖が多いのか関西人からするとかなり甘い。
正直一切れで飽きた。二切れは我慢。三切れは辛抱。
丸政の弁当は以前、「元気甲斐」が美味くて、私の中で定評があったのだが、今回は舌に合わなかった。と言うか味が単調過ぎる。半切れでいい。
相方が小淵沢から乗ってきたあるおじさんを指して笑いながら言った。
「あの人、たまごサンド持っていたよ」