百蔵山と扇山へ行ってきた。
いずれも山梨県の1000mほどの山で、百蔵山は大月市、扇山は大月市と上野原市の境に位置している。特長のない低山と言えば大変失礼だが、特に険しいところもないあたりが、人気の山である。
この何とはない山が人気なのは富士山の展望が良いところで、秀麗富嶽十二景に選ばれている。
今回は大月の1つ東京側、猿橋駅で降りて、百蔵山から攻めることにした。
そう言っても大して書くことはない。駅から「名勝猿橋」と「百蔵山」という標識を追えば、集落を抜けて登山道に入ることができる。登山道は林業用の作業道という具合なので、歩きやすい。ハイキングにはもってこいだ。
駅から百蔵山までは登山道に入るまでが40分程。そこから百蔵山頂上までは2時間程度だろうか。道は悪くはないが、やや急坂の部分もある。
百蔵山頂上は富士山側、南面が開けていて、気持ちのよい芝生が広がっている。基本的に展望が開けているのは百蔵山頂上と扇山頂上のみであとは樹林帯が広がっている。
まだ8時半くらいだったので、百蔵山からやや急な斜面を下りて扇山に向かう。
森林浴という言葉がある。なかなか秀逸な表現と言っていい。新緑を透して浴びる陽光は何かを洗い流してくれる気がする。
朴の木、ゼンマイなどが豊かな緑をたたえている。
かなり早い時間から登り始めたためだろう。人気コースにもかかわらず静かな山行を楽しめた。
百蔵山から扇山まではのんびり歩いて2時間あまり。百蔵山からの下りはやや急だが、扇山への登りは広いところも多くてなだらか。
扇山の頂上に出ると、またしても南面に富士山。丸太のベンチが置いてあって快適そのものだ。
コーヒーを飲み、早い昼食をの楽しんでいると、10人くらいの中高年の団体が来た。
「密になる」
などと言っているが、結局は3、4人くらいずつで固まって座り、姦しくしゃべりながら昼食を取っている。
ゴールデンウイークだというのに遠出もしにくいので、ここに来たという感じだ。山岳会の集まりだろうか。
休みなのに5日も1週間も「ステイ・ホーム」できるわけがない。
扇山からは鳥沢駅に下りた。
途中、シャクナゲの群生地があり、もう萎れかけていた。
非常に暑い日だったせいか、セミが鳴き始め、ヘビはにょろにょろと這い、カエルが鳴いている。
集落に下りると、山間から富士山が見える。
「こんなところに住みたいなあ」
「でも本当に住んだら大変だろうね。近所づきあいとか」
相方とそんな話をした。