クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

夏の奥穂高岳登山①~ザイテングラートから穂高岳山荘へ

四連休の後半にふと奥穂高岳に行ってきた。初日を出勤したので四連休ではなく実際は三連休だったのだが、それはさておき後半の天気が良さそうだったので、金曜の夜新宿発、上高地行きを予約した。

上高地は5:20着。バスターミナル前でおにぎりをモリモリ食べて梓川を遡る。明神、徳沢、横尾とほぼ平坦で通い慣れた道。何度も通ったはず何に「こんなに長かったっけ?」と毎回感じる。

今回は朝の木漏れ日が美しい。

 

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横尾からいよいよ山道へ入る。

屏風岩を眺め、汗をかきかき坂を上る。とにかく暑い。こんなに天気がいいとは。今日登った人はさぞかしいい気分だっただろう。

こういう時に妙に悔しい気分になるのが性格のわるいところ。休日出勤の日に天気がいいと悔しいし、天気が悪いとほっとする。自分が絶景を享受できないと思うと仕事が手につかないのだ。

若い女の子とすれ違うことが多いように感じる。キッズも結構いた。連休の穂高はキラキラ系かもしれない。

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涸沢には12時前に着いた。

ここでテント泊とも思ったが早すぎる。おまけに相方の脚を考えると明日の行程を減らすためにも穂高岳山荘まで上がった方がいいと判断。涸沢のガレ場を抜けて雪渓を横断し、ザイテングラートを登る。

途中、高山植物がきれい。時折花を眺め遠く常念岳を見、前穂高岳を見て再び歩き出す。

同じく穂高岳山荘を目指すお兄さんとの会話。昨日は豪雨だったらしい。一昨日も雨雲レーダーを見ていたら豪雨だったので、ここのところ夕方はかなり天候が不安定になるらしい。そういえばこの日も朝は雲一つない天気からもくもくと雲が湧いてきた。

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ザイテングラートは支稜や支尾根という意味らしい。ドイツ語なので"らしい"としか言えないこの岩場は今、日本で最も遭難事故が多い場所となっている。

過去、私はザイテングラートを3回通過している。1度目は10年ほど前、岳沢から奥穂高岳に立ち、下降に使った。2度目は6年前の残雪期に涸沢から奥穂高岳にピストンしたが、この時は岩場を通過していない。3度目は2年前の夏で、涸沢から夜明け前に登った。いずれもあまり覚えていないし、危険だった記憶がない。

しかし、危ない感じがしないあたりが余計に危険なのだろう。この岩尾根は落ちたら危ない箇所はいくつかあるものの、ステップはどれも大きく、難しいところはない。落ちたら死ぬという事実は同じでも、足場がはっきりしているだけで「危ない場所ではない。怖くはない」と誤認してしまう。そのことで生じる油断が滑落事故の原因ではないだろうか。

 

穂高岳山荘の手前で小屋のスタッフが雪かきをしていた。階段状になるよう丁寧にステップを切っている。

「お疲れさん!」と声を掛けられた。

この言葉はなぜか仕事の時よりうれしく感じる。