クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

憧れの鰻に会うために

旅の楽しみは食の楽しみだったりする。

このところ旅行は登山と食がテーマとなっていて、腹を減らせて美味いものを食べるということが多い。最近は宿代はできるだけ安いところにすることが多く、その分を食に充てている。

今夏は6日にもわたるレトルト食品とアルファ米の食事の後、富山で寿司と海鮮にありつくことができ、高山では飛騨牛を頂戴した。海鮮はなにしろ産地が一番。

これぞ旅の醍醐味である。

 

一方でどこで食べても価格がそれなりの憧れの食材というのがある。

一つが海鮮のジャンルに入るが、ウニ。一昨年、利尻で食べたが、この時はうに丼1杯が5000円弱。産地では型崩れ防止のミョウバンが入っていないので、味は格別だが、値段は格別とはならないのが、憧れの食材たるゆえんだったりする。

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それとは別に憧れの食材と言えば鰻。

鮪の大トロという意見もござろうけど、江戸時代までトロは人気がなかったというから、やはり鰻が一番である。もっとも、かつては庶民の味だったのが、昨今では希少性が増し過ぎているきらいがある。

昨年の秋に大月から三島まで自転車を漕いだ。三島は水のきれいなところで、鰻が有名だ。宿の近くにちょうど古い鰻屋があったので、テイクアウトした。

三島では江戸前の蒲焼きらしく、蒸した後に炭火で焼いている。北大路魯山人が「大阪の人は江戸前の鰻を脂が抜けて不味いと言うが、本当に美味いものは調理の仕方が違う」と書いていた記憶がある。この時の鰻はまさに美味い調理らしく、一番安価な鰻丼にしたのを後悔した。

さて、この夏は法事で名古屋に行き、ここでも鰻を頂戴した。

相方の実家では夏は郡上踊りへ行っていたらしい。郡上踊りは郡上八幡で行われる盆踊りで、郡上八幡長良川の上流に位置する。長良川は古くから清流として知られ、鰻や鮎の産地でもある。

だからなのかはわからないが、相方の実家へ訪ねると鰻を頂戴する機会がちょくちょく増えた。憧れの鰻は就職して独り暮らしを始めてからは出会う機会が皆無だったので、夢のようというかどう応対していいかわからない。

今回、名古屋では最高の御膳をいただき、大変満足だった。

ただ、こんなに贅沢に頂戴してしまうと憧れの鰻が憧れでなくなりはしないか。それが少し不安になっている。