クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

ビジネスにおけるリーダーシップと登山

この間、上司から「どんな管理職を目指す?」と訊かれて思わず返事に窮してしまった。窮してはいけないのだろうが、どう答えていいかわからなかった。

今まで私は理想のリーダーに会ったことがない気がするのだ。

 

どうも日本の管理職という人を見ていると、管理したがる傾向にある。部下が何をしているのか把握し、滞りなくミッションを遂行する。上長の意向は素早く察知し、必要な情報提供や相談を事前に行っておく。

中には部下の休暇の日程まで勝手に決めてしまうのもいて、大いに困った。

彼らは彼らなりに理想のリーダーとなっていたのだろう。しかし、基本は軍隊式トップダウンで、大きな事故は起きない代わりにチームとしては大して面白くないし、大きな成果が上がることもなかった。

これでいいのだろうかというのが私の本音だ。

3人のチームで登った剱岳

対比として思い浮かぶのは私の登山である。

多くても3人くらいのものだが、それでもチームとなる。ただ、発案者と参加者がいるだけで、リーダーとかサブリーダーとかを決めたことはない。発案者が大まかな計画を立てて、提案する。参加者が各々の体力や技術を考慮して計画を調整する。天気を見て修正を動議する。

そんな具合で決めていた。

当日は体調不良で途中下山するという者もいた。雪山では1人での離脱は危ないので、結局全員撤退となったこともある。

重要なのは各人が自己主張することだ。体力や技術レベルは互いにある程度わかるとはいえ、決めるのは本人。常に自分がリーダーのつもりで主張しないと後でチーム全体にしっぺ返しが来る。

そんなわけで登山に置いて私は明確にリーダーを定めてことはない。ただ、一緒に行く人は自分勝手な私を放っておくと痛い目に遭うので、意見をぶつけ合うということになった。

 

「リーダーシップとは」という内容でビジネススクールの講師の話は聞いたことがある。ドラッカー流では「組織の目標管理と優先順位決め」をする人らしい。

しかし、これだけ聞いても理想のリーダーを実像化するのは難しい。

稲盛和夫の本なんかを読むと、仕事は「利他の精神」で行わねばならないという。こうなると背筋を常に伸ばして、高潔な気持ちで仕事をせねばならないという気持ちになるものの、自分の至らなさが目についてますます理想のリーダーが遠のいてしまう気がしてしまう。

果たして私の登山流リーダーシップは通用するのだろうか。