フランスでは年金受給年齢引上げを巡って暴動が起きているらしい。
報道によると62歳から64歳への引上げを強行したマクロン政権に抗議して、放火やルーブル美術館の封鎖まで行ったという。
日本ではすでに受給年齢は65歳だ。お隣ドイツも65歳でイギリスは66歳。高齢化の進む国では当然の流れと言える。
それが暴動になるというところがフランスたる所以かもしれない。
私の身近では今年父親が仕事を辞めると言っている。もう70歳なのだし、これまでのように週5日働けというのは酷というものだ。
ただ、現在91になる相方の祖父は、中学もまともに出ずに18歳くらいで企業に勤め始め、60歳からは別の企業へ移り、65歳からはシルバー人材センターで働いていた。企業の部長をやっていた人間が違法駐輪の撤去を70歳までやっていたのだから驚く。
退職金も年金も十分に恩恵を被れる世代なのだから、適当に引退してもいいようなものだが、働くことに義務感を感じているのだろうか。
翻ってフランスの暴動。
現在61歳で、あと1年と考えていた人の憤りはわかる。人生プランが狂ってしまう。60歳以降に稼げれるか不安だというのもわかる。
ただ、暴動を起こすくらいだから今回抗議の主役は元気な現役世代なのだ。これは年金の話というより仕事観の違いによるところが大きい気がする。
抗議の声というのを見ていると「健康な身体で定年を迎えたい」というのがあった。つまり、体力が落ちたから引退するのではなく、引退してからも元気に何かをして過ごすつもりらしい。
仕事は苦行であり、早く悠々自適の生活がしたい。それが年金行政のせいで狂いが出たことに我慢ならない。そんな風に見えてくる。
そこでいくと日本人は年齢によって今までのように働けなくなるから引退するのであって、元気であるうちは働かなくてはならないと考えるのが一般的だ。
逆に元気なのに引退させられると、時間を持て余して一気に老け込む人もいる。
FIER(Financial Independent Early Retire)なんていう言葉も出ているが、自分はいつ仕事を引退するのか、少し気になっている。