会社からの帰りの電車で隣の2人の女性の声が耳に入って来た。いわゆる女子トークというやつである。
聞くつもりはないのだが、声が大きいのでどうしても耳に入って来る。
「やっぱり働くなら東京だよね。仕事も一度辞めてもいろいろあるし」
その通りだ。なんだかんだで東京には企業が集まっているし、人も多い。必然的に仕事があるのだから、辞めても次を見つけやすい。
いかにも新卒という雰囲気の女の子だが、今から転職を考えるとは驚きである。
「早く次に転職してキャリアアップしたいなあ」
おそらく入社したばかりであろう彼女がすでに転職でキャリアアップとは。日本もアメリカのように転職が当たり前の価値観になってきたのか。
「今時結婚して子どもができても共稼ぎするしかないよね」
もう専業主婦なんてできない。これは2000年以降に就職した人は同じ感覚なのではないだろうか。
ただ、私の世代は就職氷河期の延長上だった。就職そのものが困難だったし簡単に辞めてキャリアアップもできない。その点、売り手市場の今はキャリアアップという言葉も学生の間でよく出ていたのだろう。
最近の新社会人はなかなか立派だ。
そんな風に感心していると私の隣に座る女の子はこう言った。
「でも早く辞めてパートくらいでちょうどいいかも」
おい、どっちやねん!