クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

甲斐駒ヶ岳はトレーニングの山①

2週連続の登山。先週の茅ヶ岳と同じ山梨にある甲斐駒ヶ岳へ行って来た。

今年は天候不順で、とにかく天気予報が当たらない。「山沿いではにわか雨があるでしょう」という予報が毎日繰り返されるように、山の天気は全く読めないので、前日にパッと思いついて行ける山ということで、甲斐駒ヶ岳を選んだのだ。

去年の7月以来。もう7回目くらいになるだろうか。

黒戸尾根からの往復はトレーニングに良い。深田久弥が「日本アルプスでいちばん辛い坂」と称した長い登りで、とにかくほぼ登りなので自分の体力測定にちょうど良いのだ。

いつも通り9時15分に道の駅はくしゅうに着く。

今までの最速は午後2時半に七丈小屋。遅かったのは真冬に4時半。そして昨年は4時前になった。

さて、今回は何時になるだろうか?

(つづく)

秋風吹くのはいつ?

秋めくどころか夏に逆戻りみたいな日が続いている。これだけ暑いと紅葉どころかそのまま枯れてしまうんじゃないかと怖くなる。

「昔はこんなに暑くなかった」と言う年配の人が多い。いや、私も年配の範疇になりそうであるのだが。

かつてなら思い過ごしだろうと流していたのだが、確かに自分が小学生の夏休みに30度を超える日はそんなに多くなかった気がする。ましてや35度は年に1度あったかどうか。

浅田次郎JALの機内誌に連載している「つばさよ、つばさ」の単行本版を読むとやはり同じ疑問から気象庁の過去統計を調べていて、同様の結論を下していた。

私は暑いと高所に逃げるのを定跡としている。8月なら3000mくらいに行きたいし、9月なら2500mくらいでもいい。

しかしながら、今は9月、いや10月に入っても3000mくらいに行きたい気分だ。一昨年、10月に奥穂高岳に行ったら、暑くて暑くて、念のために持参した化繊ダウンやらが全く使われぬまま下山した。

さて、今週末は天気がやや不安定だけど、どこかに逃避したいな。

山と43歳の壁

今から1ヶ月以上前、7月終わりに平出和也さんと中島健郎さんの遭難が告げられた。

私は特に面識というほどのものはないものの、平出さんと言葉を交わしたことはある。10年以上前に石井スポーツの店頭に立たれていて、私がハーネスを買う際に接客してもらったのだ。

「安いのはベトナム製。高いのはヨーロッパ製で品質に差はないです。安い方が得ですよ」

とメーカーのセールスなら言いそうにないことを淀みなく話していた記憶がある。

さて、2人の遭難が報道された際に「43歳の壁」という言葉がネット上に挙がったらしい。

この人口に膾炙しない言葉はノンフィクション作家の角幡唯介さんが文芸誌の中で書いたものだ。43歳で遭難している日本の登山家・冒険家が多いことを取り上げていて、自身の経験を基に原因を探っている。

簡単に書くと、若いころは体力と気力のみで突っ走っていたのが、40歳くらいになると経験値が広がって、できることが多くなっていく。できることが増えるとまた新しい可能性と世界の広がりを感じるのだが、次第に体力の方が落ち始める。この臨界点が43歳にあたり、遭難という結果につながっているのではないかというわけだ。

 

私はこの言葉を5年ほど前に石川直樹さんの講演で聞いた。その年、石川さんは43歳になる年で、K2にも2度目の挑戦をすると言う。その中でこの不吉な言葉が気にかかると言っていた。

40になって私自身が感じるのは、体力は伸びないものの、大きな落ちも感じない。ただ、トラブルがあっても「なんとかなるだろう」と思うことが増えた。

まさに不惑と言えるわけで、「なんとかなるだろう」がないと次の一歩が踏み出せない。登山の場合、登れる自信より下山できる自信の方が生還のためには重要なので、登っても「なんとか下山できる」という確信がないといけない。

それが40歳くらいで熟成されるということだろうか。しかし、自然はなんともならない仕打ちをしばしば見せるのだ。

 

ともかく、お2人の遭難。かえすがえすもショックである。

残暑の茅ヶ岳登山と百名山

先週末は山梨にある茅ヶ岳に行って来た。

青春18切符があと1日分ある、土曜日だけ天気が安定している、暑いなどの理由による選定である。1700mくらいなので暑いには変わらなかったのだが。

茅ヶ岳は深田久弥終焉の地として知られる。

1971年に茅ヶ岳の頂上下で脳卒中のため亡くなった。つまり死ぬまで元気だったということであり、人生いろいろあったけど、幸せな亡くなり方と言えるだろう。

頂上の少し下には墓標のような石碑があり、手を合わせる方もいた。

考えてみれば『日本百名山』というのは罪作りな書籍である。

私も、さてどこに行こうかと考える時に百名山が目に付いてしまう。一つに百名山と称されると登山のためのアクセスが良くなり、マイカーなし族は行きやすい。そして、百名山はその山域で盟主としての位置にあって、なんとなく登りたくなる。

ただ、特定の道が異常に整備されてしまうというのも、百名山登山の面白みをやや減らしている気がする。

それでは茅ヶ岳はどうかと言うと、深田記念公園から登って茅ヶ岳の頂上までは2時間くらい。普通のハイキング道という感じで迷うことはない。茅ヶ岳から金ヶ岳まではやや細い道になり、岩場も少しある。迷わないよう整備されているけど、岩をくり抜いたような石門もあって面白かった。

ただ、下山して1つ大きな問題は、深田記念公園までのバスは1日2本しかなく、山も小さいので、帰りが少し遅くなってしまうこと。

ちなみに深田記念公園はベンチが少々あるくらいで、特に展望が良いわけではない。

まあ、北海道以来のリハビリ登山でした。

全国の蕎麦巡り

なんだか食べ物の話ばかり書いている気もする。

登山目的であちこち行くと、必然的に行くのは山村になり、名物は蕎麦というところが多くなる。特に日本アルプスのある信州がそうだから余計に感じるのかもしれない。

昨日は北海道の食べ物について書いたけど、今回はオススメの蕎麦三選を書こうと思う。

福島、猪苗代で食べた蕎麦

まずは福島、猪苗代湖の近くの蕎麦。店の名前は忘れた。

まさに民家というところで、メニューが2つしかない。腰のある細麵で、蕎麦の香りがいい。それと季節の山菜天ぷらのほろ苦さが癖になる一品となる。

山から下山して食べると物足りなく感じるかもしれないので、登山前に食べるべきかな。

この夏、北海道でトムラウシ山から下山して着いた駅は新得だった。知らなかったけど、新得蕎麦というのが名物というので買って支笏湖のキャンプ場で食べた。田舎そばを選択したので少し太め。焚火缶だと見栄えはしないけど、たまにはキャンプ場でざるそばもいい。

 

さて、3つ目はここ最近食べていないので写真はない。1番のお薦めは山形の田舎そばで、最高峰の蕎麦だと信じて、相方への布教活動を行っているのだが、食べていないのだから伝わらない。

私の好みは更科そばみたいな細いのではなく蕎麦粉たっぷり、腰のある田舎そばなのだ。

今度、山形へ登山に行き、蕎麦を食べて帰るのが当面の目標である。

夏の北海道で食べるべきモノは?

学生時代の最後、北海道を自転車で横断したことがある。

その時、出会った30歳くらいの男性が「日本全国、いろいろ美味しいものを食べたけど、カップヌードルが一番だった」と話していた。「ホンマかいな」である。30歳になればあのような境地に至るのだろうかと無理やり納得したのであるが、30も過ぎた今は少量でも美味しいものを食べたいという気持ちでいる。

まあ、カップヌードルも最大公約数的な美味しさはあると思うけど。

 

それはともかく、この夏は4回目の北海道旅行で感じた夏の北海道で食べるべきものを勝手に紹介したい。

ニシンの一夜干し

まずは「ニシン」。

関西出身としては京都の「にしんそば」くらいしか食べ方を知らなかったのだが、3年前に羅臼でニシンの一夜干しを食べた。もう、これが脂が滴るくらい乗っていて、ガス缶がギトギトになり、後で往生した。

食べてみると仄かな甘みのある脂でその美味しさに驚く。にしんそばのニシンは脂を抜いた干物だったのか感じたくらいだ。

この夏はニシンの刺身も食べたけど、これもまた絶品。北海道に行った際は是非是非である。

ホッケのちゃんちゃん焼き

次は食べられるところが限られると思うけど、生のホッケのちゃんちゃん焼き。

これも今まで干物しか知らないと驚く。礼文島で食べたのだけど、こんなにジューシーな魚と思わなかった。生は夏限定らしい。

最後はやはりウニ。

しかし、うに丼もいいけど、私は利尻島を歩いていた時にウニを割っていた家族が食べさせてくれた採りたてが超絶美味かった。

「食べさせてくれた」という点も大きいのかもしれない。

 

そんなわけで、ニシン・ホッケ・ウニ。

他にもいろいろある夏の北海道は毎年でも行きたい。

登山とアナログ腕時計

北海道旅行で支笏湖で水遊びをした。足元を動き回る魚を獲ろうとしたものの、われわれに捕まるほどトロい魚はおらず、空振りに終わった。

ただ、魚追いの代償はそれだけではなかった。相方は腕時計を着けていたのだが、それが壊れてしまったのだ。

相方が愛用していたSUNNTOのVector

数多くのクライマーが愛用し、相方が購入したのは今から10年くらい前。もう廃盤になるということで「さよならVectorキャンペーン」で買ったのだとか。最近はバックライトも光らず、いつ壊れてもおかしくなかったところでついに液晶が点灯しなくなった。

これは私の登山腕時計

そこで旅行から帰宅後、新たな登山時計を探し始めたわけなのだが、最近の流行りはスマートウォッチ。GPS付で地図も見れるというモデルが席巻している。このスマートウォッチ、かつてはすぐに電池が切れるというデメリットがあったのを、年々性能を上げて克服しつつある。

かつて私が100kmマラソンに出た時は連続使用時間が8時間くらいで、世界記録を目指すランナーじゃないと途中で電池切れになる恐れがあった。今は省エネモードで数日は持つそうだから、大丈夫かもしれない。

しかし、相方はスマートウォッチは嫌だと言う。ついでに腕時計はアナログの方がいいのだとか。登山はアナログな行為だ。確かにアナログな行為にデジタルな時計は私も少々違和感を感じていた。

そこで、2人してネットで探し続けて決めたのがこれである。

完全アナログというのは高級過ぎるので、PROTREKのアナログとデジタルを組み合わせた時計。

時々黒のバージョンを着けている人を見ることがあったけど、白は見たことがない。かぶらないという意味で一目惚れしたらしく、すぐにポチっていた。

現物は普通のデジタル腕時計をサイズは変わらず、文字盤も見やすい。強いて言うならデジタルの文字がもう少しスタイリッシュならなおいいのだけど。

まあ、私が使うんじゃないのだけど。