クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャンクフード

アメリカ・西部。赤茶けた乾いた大地に伸びる道を一台の乗用車が走っていた。あたりはモニュメントバレーに代表される景勝地であり、西部劇の舞台となるような砂漠である。乗用車はセダンタイプのレンタカーで、運転席には父親、助手席には母親、後部座席に…

来週休みます

映画「釣りバカ日誌」で浜ちゃん役・西田敏行の台詞。 「俺はなぁ!実の兄貴を殺してまで来たんだぞ!」 忌引きを理由に釣りの誘いに駆けつけたわけだ。今有給休暇5日以上の取得を義務付けるという法案が提出されているが、休むを悪徳とみなすのが日本企業…

お葬式の思い出

結婚式について少し茶化した記事を書いたが、冠婚葬祭のしきたりはどれも不思議だったり滑稽だったりする。しかし、結婚式というおめでたいものを茶化すのは簡単だが、お葬式を玩具にするのには勇気がいる。何しろ人が死んでいるのだ。 ただ、少し思い出深か…

投稿マニア

高校時代に深夜ラジオを聴いていると、投稿の面白い番組が多かった。投稿は所謂「ハガキ職人」から送られてくるもので、あれだけの労作を毎週作り続ける情熱には大いに感心した。いくらウケても、もらえるのはステッカーくらいだから、毎週毎週いろいろな番…

ジムクライマー

今年は天候が不安定でなかなか山に行けない。雨の山行を楽しめるほどの登山者ではないので、週末はクライミングジムでお茶を濁している。 いつも利用するジムはどこの駅からも中途半端な位置にある。いつも最寄り駅から歩くが、丘を越えて40分かかり、通常な…

冷や水

男性が自分の年齢を初めて意識するのはアスリートたちが年下になった時らしい。ずいぶん前のアンケート結果だが、なるほど自分にも思い当たる。会社組織などでは新卒採用が少ない時期があったりで三十代でも若手と言われたりするが、アスリートならどの競技…

コンプライアンスの哲学

2泊3日で社内研修に行ってきた。 事前課題がいくつかあり、小論文とプレゼン資料を作成したのだが、こんな時のテーマは実用性のない抽象的なものと相場は決まっている。小論文のお題は「コンプライアンスの実践」だった。 企業はコンプライアンスとやたら…

無知と知

時事ネタがわからないと書いたが、人生の中で時々自分の無知を実感することがある。これは誰しもだろうが、誰もが知っている中での自分の無知は時にある種の劣等感になったりもする。 私が最初にこの劣等感に出会ったのは幼少時代のアメリカ滞在時やそこから…

人工知能は山に登らない

私は現在テレビもなく、新聞も購読していない。 先日、寄席で漫才を聞いたら時事ネタがよくわからなかった。さっぱりと言わずとも薄ぼんやりと霧がかかったような状態で、今一つ笑えない。例えば、加計学園とか森友学園とか名前は知っているが、詳しい経緯と…

引退

「早よ引退して仕事やめたいわ」 ファミレスで、ある友人がコーヒーを手にしながら呟いた。彼女の目下の趣味はマラソン。大会に備えて平日は会社から自宅まで走ると言うから恐れ入る。学生時代はソフトボールのピッチャーをやっていたというガッチリ体形で、…

生きる痛み

ある陽光の差す5月の日曜日、私は都心に向かう電車に乗り込んだ。春の日差しがガラスを通して車内の空気を暖め、私は思わず座席でうとうとし始めた。気が付くと列車は終点の新宿に近づいており、閑散としていた車内は人で溢れていた。みんな急に暖かくなっ…

羽化登仙

今年は台風の当たり年となっている。まるで技巧派ピッチャーの投球のように日本列島の周りを西へ東へかすめる。 小学校の時に「日本列島は夏の間、太平洋高気圧によって好天が多いが、高気圧の勢力が弱まる9・10月ごろになると台風が列島を通過するようにな…

結婚式考

「今月結婚式二つも入ってますよー」 後輩が嘆いていた。嘆くのは無論ご祝儀等の経費が嵩むからである。 「いやー、全然回収しないで払うばかりです」 結婚式なんて人生でそう何回もしないから、回収しても一回きりが一般的だ。当然トータルでは払いの方が多…

山道具考

「やれザックはミレーだ、ピッケルはシャルレだと道具だけにこだわるだけでなく、まずは身体と登山の技術を鍛錬することが肝要である」 おおよそこのようなことが実家の本棚に並ぶ40年ほど前の山岳雑誌に書かれていた。当時のヨーロッパ製の山道具は高嶺の花…