クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

読書

田内学『きみのお金は誰のため』を読んだ

田内学『きみのお金は誰のため』を読んだ。 FM横浜の番組「FUTURE SCAPE」で著者がゲスト出演していたので興味を持っていたら、相方が本屋で見つけるやすぐに買った。 帯には「経済教養小説」とあり、主人公の少年がボスと呼ばれる謎の老人からお金の本質を…

下降する身体との向き合い方

服部文祥『北海道犬旅サバイバル』を読んでいる。 デビュー作『サバイバル登山家』で、イワナを咥え、ギラギラした目つきで写っていた姿から20年。身体能力が下降線に入り、身体的表現者としての「引退試合」として臨む旅として北海道の無銭サバイバル旅を選…

なぜ歴史は面白い?

岡本隆司『袁世凱』を読んだ。 袁世凱は清王朝末期、軍閥の総帥で、辛亥革命後に中華民国の初代大総統となった人物である。本国中国でも日本でもなぜかあまり評判は良くない。清朝末期のどさくさに漁夫の利を得たように権力に座に着いたように見えるからだろ…

『神話の力』を読んだ

最近、夜は走っているので読書はもっぱら電車の中。慌ただしい。 ジョーゼフ・キャンベルとビル・モイヤーズ『神話の力』を読んだ。神話学者の権威、ジョーゼフ・キャンベルにビル・モイヤーズがインタビューする形式の対談記事。 最近読んだビジネス書の中…

アウトドア-アクティビティと怪我

年明け山に行っていない。 雪山は夏より体力を要するし、当然危険が伴うしでどこか億劫になりがちである。あるいは自転車でもと思うが、冬のサイクリングは辛い。ならばパックラフトって、冬に水のアクティビティなんてやる意味は今のところ感じない。という…

飛行機の旅は好き?

図書館で浅田次郎『つばさよつばさ』を借りた。 日本航空の機関誌「SKYWARD」に連載されているコラムの単行本で、JALの飛行機に乗るときは楽しみにしている。 飛行機には他の交通機関にない「オキテ」がたくさんある。 まず搭乗の1時間前には空港に着かねば…

急に風邪で休みになったので本読んだ

お題が「急に休みになったら」かと見ていたら、急に風邪を引いて休まざるを得なくなった。 会社で仕事をしているうちに寒気がしてきて、「やばいやばい」と思いつつ何とか帰宅すると熱が39度。翌朝も38.7度で、そのまま「休み」となってしまった。 翌朝は37…

偏差値に弱い父たち

年始、実家に帰ってからは両親が撮りためていたEテレの番組なんかを見て過ごした。正月番組の騒々しさがなくていい。 見たのは教養番組が多いので解説に大学の教授なんかが出てくる。そうすると父親はすぐにスマートフォンの音声検索で「○○大学、偏差値」な…

『走れメロス』と太宰治

先日、ランニングをしていたら三鷹のあたりで人だかりができていた。 何かと思ったら、鉄道車庫を跨ぐ歩道橋が閉鎖になるとかで、最終のイベントをやっているらしい。イベントと言っても特に何があるでもなく、予約者のみ上がれるというだけだが、屋台まで出…

エンゲル係数と食の幸せ

忘年会シーズンなのか、後輩が就業時間を過ぎるといそいそと会社を出るようになってきた。 私は最近、忘年会とか新年会とか暑気払いみたいなものにとんと縁がない。平日に飲むと疲れるし、むしろ帰宅してランニングがしたいのだ。 そんなことを言っていると…

東京という砂漠で生活する

日々、オフィスの窓から遠くを眺めているとなんだかとんでもないところにいるような気がする。 宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』を読む。 内容はともかく、冒頭の文章に非常に共感した。宮田珠己さんは関西出身で、就職して初めて東京に来た。その際…

吾輩はせっかちである

昨日、三浦しをんのエッセイを読んでいて「なるほど!」と膝を打った。 それは、電車を降りる時には降車の1駅前から切符を握りしめているという話で、私にも心当たりがある。今はSuicaを使う時は慌てないが、新幹線などの乗車券を持っている時は確かに手に…

ランニングと睡眠と仕事

この週末は久しぶりに20km以上走った。2日で30km以上にはなるだろう。 そう書くとストイックに聞こえそうだが、帰宅して食事をしてからは疲れを取るためと称して、ずっとグダグダと本を読んだり、うとうとしたりで全くの怠惰な生活である。 図書館で借りて…

架空の地図を持つこと

先日、図書館で借りた本を山積みにしてパラパラ読んでいたら、面白いエピソードがあった。 ヨーロッパ某国の軍隊が山中で道に迷った。吹雪の中、このまま部隊は全滅するというところで1人が地図を持っていることがわかる。湧き上がるチーム。意気揚々と下山…

求められること、やりたいこと、できること

週末は走って、本を読んで終わってしまった。まだまだ走る身体ができていないので、20kmも走ると疲れて他のことができなくなる。あるいは、もう年か。 最近、三浦しをんのエッセイにハマってしまい、ゲラゲラ笑いながら読んでいる。 その中で、ふと考えさせ…

今の人になるか、過去の人になるか

ここ1年くらいChatGPSなどの生成系AIが話題になっている。 私は文学部で歴史を専攻するなど「生粋の文系」なのだが、こういう科学の話も好きだったりする。父親は工学部で相対性理論がどうのと昔から聞いていたので、その影響かもしれない。 このChatGPTの…

疲れた時に読みたい本

ここ2年ほど4時半に起きて6時出社という生活が続いている。 そんなに始業の早い仕事なのかというと、そういうわけではなく定時は9時だ。最初はコロナ禍で時差出勤せよというお達しから始まったもので、徐々に電車の空いている時間を探していたら今の時間…

日本と中国の本音と建前

ここのところ休日はランニングをして図書館で本を借りて読むという日が続いている。今、借りている本だけで積み上げると40cmくらいになっていて、期間内に読み切るか不安である。 まあ、タダで借りているわけだし、1度返してまた借りればいいのだけど。 今…

ハイテク日本のハイテクトイレ

尾籠な話で恐縮だが、先日健康診断の前に検便をした。 専用キッドに入っている紙を便器の水の張っている上に被せて用を足し、ブツを水に落下させないようにしつつ検体を取る仕組みだ。よくできている。 私は1日1回決まった時間にしか出てこない体質で、早…

仕事とカンヅメの効能

まだ熱海で缶詰となっている。「カンヅメ」と言えば流行作家のようだが、実態はどこにも行けない軟禁状態である。何せ駅まで歩くと2時間くらいかかるのだ。 本物の流行作家のエッセイを読むと「カンヅメ」になっている情景を描いているものがあって興味深い…

老化による不調と解放感

来年2月に開催されるマラソン大会に応募してしまった。 今年は3年ぶりに参加して、前回より2分タイムを縮めることができた。来年は寄る年波にまだ逆らえるだろうか。 『BE-PAL』に連載している角幡唯介さんのコラム「エベレストには登らない」に「老化の…

街に下りたら何食べよう?

週末、先崎学『棋士の腹のうち』を読んで、久しぶりに腹を抱えて笑ってしまった。 将棋の棋士である先崎学九段が食べ物にまつわるエッセイを綴っている。今でこそタイトル戦での食事がネットニュースになるくらいだが、将棋の棋士の行動範囲は極めて狭いので…

天才の三次元的思考

週末はボー然と過ごしてしまった。 ボーっとしたいとか書きつつ、本当にボーっとしてしまうと貴重な時間を無駄にした気分になる。まあ、蒸し暑かったし仕方ないかということで、週末は本を読んで過ごした。 谷川浩司『藤井聡太論』という本を図書館で見つけ…

もし他の人生を選べたら

雨の時期だし、最近は本の話題が連続している。 今はサイモン・シン『数学者たちの楽園:「シンプソンズ」を作った天才たち』を読んでいる。 数学者たちの楽園: 「ザ・シンプソンズ」を作った天才たち (新潮文庫) 作者:サイモン・シン 新潮社 Amazon サイモ…

現代人の時間革命

週末、図書館で堀江貴文『時間革命』という本があったので、パラパラとめくってみた。 昨日取り上げた野田知佑さんとはある意味対照的な人物。ただ、九州出身であること、自分の時間を大切にすることは共通している。 私は堀江さんの合理的な考え方が嫌いで…

あとは死ぬだけと言える人生

『カヌーイスト野田知佑メモリアルブック』を入手した。 内容は大判の写真と過去の著作の抜粋で、目新しいところはないものの、「ああ、野田さんが亡くなったんだなあ」としみじみ感じた。 そうは言っても野田さんと私は全く面識はない。相方は「川の学校」…

居酒屋と食い物の恨み

先日、久しぶりに同期で集まって飲み会をした。思えば入社時はみんなで安居酒屋チェーンか何かでわっと集まったのが、もはや残るところ数名となってしまい、みんなオッサン、オバサンとなってしまった。 今回は唯一の女子が一人では行かない「いい所」に行き…

藤井名人の誕生なるか

週末のパックラフトの話から本日はいきなり将棋の話に変わる。 藤井竜王が名人戦3勝目ということで、いよいよ最年少名人と七冠に近づいた。 過去唯一の七冠制覇はもちろん羽生善治。今、河口俊彦『覇者の一手』を読むと羽生善治の七冠ロードがよくわかる。…

大人の必須科目と小学生の必須科目

昨日、小学生の必須科目は、国語と歴史と体験だと書いた。 それでは大人はどんなもんかいなと考えると、あまり変わらない気がする。ただ、これに加えるとしたら数字・数学だなと思う。 かつて会社の役員をやっていた人が「数字を読むのは感性だ。感性がない…

お金に頼らず生きるには

服部文祥『お金に頼らず生きたい君へ』を読んだ。 サブタイトルに(14歳の世渡り術)とあるとおり、中学生でもわかるくらいの平易な言葉で書かれている。 内容は廃村の古民家を手に入れた著者ができるだけお金を使わずに生活をできるかに挑戦する話だ。そう…