クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

「最高のぜいたく」について考える②~着道楽

ここのところ相方から「コートを買え」と言われる。

去年まで着ていたのがテカテカのボロボロになっていてみっともないという。私は基本的に破れて再起不能になるまで着る主義なのだが、それがみっともないのだ。

奈良時代の官吏は休暇を申し出た日、裸になって洗濯をしていたらしい。一張羅なので、休暇を取らないと洗濯ができず、洗濯の最中は替えの服もなかった。官吏でそれだから庶民は着た切り雀である。

替えの服があるという時代は繊維業の発展したここ100年ほどに過ぎない。その意味では服装にこだわるのは古来からの「最高のぜいたく」の一つとなっている。

マイケル・ジャクソンは気に入った服を色違いでまとめ買いしていたそうだ。これだけを聞くと金持ちの道楽のように思える。ただ、普通の人なら色で選ぶところを形で選んでいるところがジャクソンたる所以かもしれない。

私も気に入ったモデルを買い直すことがある。しかし、気に入った色がなければ諦めるし、もしくは多くの場合は買い替える前に廃版になることも多い。

突飛で派手なオーダーメイドの服で着飾る富豪は古来からいる。しかし、色違いで集めるという発想はありそうでなかった。この話を聞いた時思ったのは、これもまた一般人の思いつかない「ぜいたく」の形だということだ。

 

着道楽というのは歴史が長いわりに結論が出ていない。

私もコートを買うのは渋るくせに山ウェアだけは好きなので買ってしまう。なまじ頑丈なので、捨てられないが嵩張って少々困っている。

ただ、作家・曾野綾子さんに言わせれば「そんなに何着も服が要りますか?身体は1つしかないのに」ということになるそうだ。