クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

カリオストロ公国のビジネスモデルを考えてみた

映画「ルパン三世 カリオストロの城」が金曜ロードショーでやっていた。

言わずと知れた名作で、この映画のテーマは贋札。まさに錬金術が舞台となるカリオストロ公国の主力産業というから面白い。

古来から贋金というのは存在する。日本でも鐚銭と呼ばれる私鋳銭などの贋金が出回った。ただ、撰銭令によって鐚銭4枚で良銭1枚の交換が可能になっている。こうなると贋金も流通可能になったのだから、もはや贋ではない。

映画の冒頭シーンを見ると、カリオストロ製は贋札は他国の国営カジノで流通しているようだから、やはり贋ではない。

ただ、私が気になるのは、その贋札を使ってどういう国家ビジネスを展開していたかにある。

想像しやすいのは、贋札を使って他国から物を輸入することだ。

銀行で預けて送金し、輸入品を購入する。これも個人レベルなら可能だろうが、カリオストロ公国内の銀行にだけ各国の現金が大量に持ち込まれたら、たちまちバレてしまう。基本的に現金は流通するエリア内でだけ使われるからだ。

それじゃあ、カリオストロ公国内の通貨をドルとかにしてしまうのはどうだろう。国内で流通していればドル札がたくさんあってもバレない。しかし、これも問題はある。いくら他国の紙幣でも、発行量を加減しないと国内でインフレを起こす可能性がある。

カリオストロ伯爵は「最近質が落ちるばかりではないか」と印刷技術について苦言を呈していたが、それ以上の経済問題に直面するはずだ。

 

他の方法を考えてみよう。

他国に紙幣を送って、現地で金などに替え、金を使って物資を輸入してしまう。まさに錬金術

ただ、これも金などの貴金属でできた貨幣では流通に支障が出たから、紙幣が発行されたという歴史からすると、それに逆行したやり方となる。大量の紙幣だと足が付く可能性があるから、一旦価値を他のものに移すという手なのだが、金は紙幣以上に輸送の問題が大きい。

紙幣の最大の問題は、グローバル経済の中ではなかなか使えないということだ。紙幣は発行国でしか利用されないし、国際送金は電子的な方法しかない。

やはり紙幣を産業にするには制約が大きい。

 

私の頭では贋札を作れてもなかなかうまく国家ビジネスとして使うことはできなかった。

ただ、最後にカリオストロ公国が贋札でうまく立ち回る方法を思いついた。

それは、高い印刷技術で各国の紙幣の製造を受託するのである。贋札づくりから本物づくりへ転向してしまい、真っ当な産業としてしまう。

いい方法な気がするが、これじゃあただの印刷屋さんだし、輸送コストの方が高くつきそう。

やはり歴史上、未だ錬金術は存在していない。