クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

お金を貯めること、貯まること

平日の夜、スーパーに米を買いに行った。

私がよく行くスーパーは不思議なところで、クレジットカード決済・PAYPAYのような電子決済可なのに、現金の場合は食料品割引となる仕組みで、巨大な現金精算機が据えられている。小銭を先に入れて、札を後から入れると、お釣りが出て、お釣りを取るとレシートがビーっと吐き出される。飲み物自販機と違って小銭も札もいっぺんに入れられる優れもので、業務用だからウン十万、下手をすれば100万以上したのではないかと想像している。

そんな機械を入れて割り引くのはどうも理屈に合わないようだが、現金が入ることの方が重要なんだろう。

 

前回に引き続きお金の話。

 

yachanman.hatenablog.com

 

日本銀行の広報誌『にちぎん』(そのまんまだなあ)に毎号エッセイがあって、直近のには「理想的な『おかね』の貯め方」という大阪大学大学院の教授の文章があった。さほど難しいことが書いているわけではない。まずは余裕のある時に貯めよと言うがなかなか難しい。

 

 最終的に「どんな時でも一定額貯めよ」というわりと簡単な結論に落ち着いていた。

さすが日銀であって、このエッセイにはあるメッセージが隠されている。つまり、「”おかね”を信用なさい」ということだ。貯めるのは信用があるから貯めるのであって、信用がなければ貯めるのもアホらしくなる。

歴史上、金や銀に換えることのことのできない不換紙幣が使えなくなることは珍しくない。今の日本銀行券、お札も不換紙幣だから、日本政府が崩壊すればただの紙となる。

このエッセイによれば、貯蓄の理由の1位は「老後の備え」なんだそうだ。老後まで日本銀行券が信用を保ち続けることが貯蓄の前提となっている。

 

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去年、カナダに行ったとき、ほとんど紙幣・硬貨に触れなかった。

2週間ばかりの滞在で、20カナダドルを換えたっきりで、それも余ってしまった。ほとんどというかほぼ全部クレジットカードで支払いができるので、紙幣・硬貨は使わない。毎日触れる日本では考えられない。

しかし、こうなるとお金に対する信用というか自国通貨を使っている意識はなくなるだろうなと思う。値札はただのラベルであり、自分の所有する金銭は別。実際は私はカナダドルをほとんど持っていない。

 日本人が現金主義から抜けられないのは、触れていないと不安だということがあるかもしれない。自分の貯めたお金の一部はここにあるという。

 

 『今さら聞けないお金の超基本』を渡され、パラパラとめくった。雑誌によると、アンケートで2000万円以上の現預金を持つ世帯は26%もいるらしい。「すごいなあ」と感心してしまう。

しかし、貯めてどうするのだろう。私も資産がウン億円あったとして思いつかない。ヒロシみたいに山を買ってキャンプ?別荘を買う?ヒマラヤ登山?

 

貯金のたくさんある人はお金を「貯めた」というより「貯まった」人が大半なのかもしれない。