クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

カナディアンロッキー紀行③ーキャシュレス社会

バンクーバーに降り立ってまずしたことは、トイレに行って、あとはカナダドルを手にすることだった。

トイレは重要で、日本みたいに駅やなんかにトイレはない。できる時に済ませるのが鉄則らしい。

それはさておき換金である。カナダドルは$20だけにした。$1は80円くらいだから、1600円ということになる。日本ならそんな中高生の小遣い程度を持っているだけでは不安になりそうなものだが、カナダでは大丈夫なんだそうだ。

ほんまかいな。


バンクーバーは地下鉄からバスまでエリア内は一律料金となっており、一日券を買えば地下鉄でもバスでも乗り降り自由。そのチケットは$10.5で、クレジットカードで買うことができる。日本なら近距離切符の券売機は現金しか受け付けないことが多い。

次にダウンタウンでカフェに入ったら、現金なんか持ち出す人はいなかった。

“VISA or MasterCard?”

と訊かれるばかりで、cashなんて言葉も出ない。スーパーや宿泊ももちろんクレジットカード。現金は$20を超える額を持っているだけで危ないそうだ。


私が幼少の頃、30年近く前、アメリカにいた時もすでにクレジット社会だった記憶がある。現金を使うのはせいぜい学食くらいで(子どもはカードを持ってないので)、やはり財布に入っている現金の最高額紙幣は$20。おかげで教科書で見る前からアンドリュー・ジャクソンは知っていたが、$50なんかは髭の人というくらいしか知らない。

確か当時、スーパーはもちろんのこと、ガソリンスタンドでもカードが使えた。日本ではスーパーでようやくカードの使えるレジが登場したくらいである。未だに現金割引をやっている小売店があるのだから、逆に日本の現金主義おそるべしである。


カナダに降り立つとカード支払いが当たり前過ぎるので、現金不可のところも結構あった。理由はわからないが、現金は回収が面倒だし、いろいろ保安上の問題が出るからだろう。

もはや店員は現金に触れる機会もない。たまに札を崩すために使うと店員は頭を抱えるそうだ。

例えば$3.15のものを買って、$10を出した場合、$6.85のお釣りになる。それではどんな内訳になるか。

・$5 1枚

・$1 1枚

・C25 3枚

・C10 1枚

C25のクオーターコインがややこしい上にC50コインがない。ちなみにカナダは$1もコインなので、小銭がジャラジャラになってややこしさを助長してくれる。

私がホテルでコインランドリーを使うため、$20を崩してくれとお願いしたら、フロントのイケメンお兄さんは”Off cause!”と爽やかに答えた後、かなり慎重に$5、$1、C25を目の前に積み上げてくれた。

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結局旅行中に現金を使ったのはコインランドリーと$6.5のバスだけだった。


しかしながらクレジットカードにも欠点はある。使った額がわかりにくいのだ。我が弟はほいほい海外へ行っているが、使った金額をメモ帳に几帳面に書き出しているという。確かにそうでもしないと為替の違いも相まって、使い過ぎになりかねない。

アメリカ人などはクリスマス期間に年間の何割かに相当する買い物をするらしい。これは単に消費意欲の問題ではない。現金主義の日本人が「一枚、二枚…」とお岩さんのように札を数えているうちに気分が悪くなるのに対して、クレジットカード社会ではピンコードを4桁打つだけで事が済んでしまう。

今日本でも消費税増税と抱き合わせで、キャッシュレスキャンペーンを打ち出している。なんか今さらな気もするが、進歩と言えば進歩だろう。

ただこれで日本の消費が活性化するかは別問題だ。まずは「一枚、二枚…」とお金を数える習慣から改めなくてはならないだろう。