クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

アウトドアは天然素材?人口素材?

相方が歴史クラブの顧問になった。

特に自分で希望したわけでなく割り振られただけらしいのだが、歴史は好きなので引き受けたのだという。「ハンバーグのルーツって知ってる?」という募集広告を出した結果、20人の部員が集まり、無事クラブは成立したようだ。

その歴史クラブの船出は南極探検のロバート・スコットとロアール・アムンゼンを取り上げた。最近私が図書館で借りてきたチェリー・ガラード『世界最悪の旅』に触発されたようだ。

『世界最悪の旅』はロバート・スコットが率いるイギリス隊が南極点を目指した記録である。

スコット隊はロケットが多段式に燃料を切り離すように、順次人数を絞って極点を目指す方式を採っており、著者のチェリー・ガラードも途中までスコットに同行した。結果、スコットをはじめ5名の極点隊は全員死亡したので、最後に何が起きたかは彼らの残した記録によって再現されている。

 

よく言われるのはスコット隊らイギリスは当時の最新鋭の装備、駆動橇とポニー、ぺミカンなどの保存食を主力にしたのに対して、アムンゼン犬ぞりとアザラシなどの天然素材を主力にしたことだ。

結果論にはなるが、駆動橇は途中で故障し、ポニーはほぼ全滅。ぺミカンではビタミン不足となった。チェリー・ガラードは犬ぞりを用いずに失敗したのは結果論だと反論しているものの、駆動橇によって人力で南極点を目指したことが、生還できなかった要因と認めている。

対して、アムンゼン犬ぞりの機動力と生肉によるビタミン補給という極地に生きるエスキモーの知恵を使って全員無事に帰還した。

この時のインナーはウールでアウターはゴアテックス

私も地味ながら、アウトドアで天然素材を選ぶか人口素材を選ぶか結構迷う。

かつて化学繊維のシュラフを使ったら、嵩張ってどうしようもなく、後にダウンシュラフに変えた。一方でウールシャツを冬場は使っていたのだが、ボロボロと毛玉が落ちるので、今は化繊シャツを愛用している。

また、濡れるアクティビティでは化繊じゃないとどうもダメだ。

「アウトドアでは天然素材でしょ」と思うものの、どうも単純に天然素材がいいとも言えないもどかしさがあって悩ましい。悩ましいけど、まあ面白い。

アウトドア好きに道具好きが多いのはこういった歴史的経緯もあるのかもしれない。