クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

エンゲル係数と食の幸せ

忘年会シーズンなのか、後輩が就業時間を過ぎるといそいそと会社を出るようになってきた。

私は最近、忘年会とか新年会とか暑気払いみたいなものにとんと縁がない。平日に飲むと疲れるし、むしろ帰宅してランニングがしたいのだ。

そんなことを言っていると交友関係が狭くなりそうな気もするが。

 

小山薫堂『一食入魂』を読む。

食の雑誌『dancyu』に連載されたもので、とにかく食への執念がこれでもかと表現されている。基本は外食で、食のためには東奔西走。ヨーロッパからアメリカまでしょっちゅう出かけている。

ミシュランガイドの「三ッ星」は旅の目的地としてわざわざ行く価値のある店を選んだということだが、これだけ食のためにあちこち行っている人がいるとは恐ろしい。

海外や京都・北海道なんかはしょっちゅうで、コロッケを食べるためだけに神奈川県葉山まで高速で行ったりしている。

色即是空ではなく「色即是食う」なのである。

こうなると他人事ながら懐具合が気になる。

社会科で昔、「貧しい家計は支出に占める食費が高くなります。これをエンゲル係数と言います」と聞いたが、小山さんのエンゲル係数はどうなっているのだろう。収入はよくわからないが、とんでもなく高いに違いない。

きっと「貧しい家計」とは言えまい。食で幸せになっているのだから、社会科的なくくりが及ばない人もいるということだろう。