土曜日は東京都立写真館で「にっぽんの里山」展を見てきた。
かつてNHKでそんな番組があったけど、この今森光彦という写真家は知らなかった。
私は登山に行くのが好きだが、目的はというと自然を見るためである。自然というのは人工物ではないということになるわけで、目に入る人工物を意識的に避けて見ていたりする。
ただ、人の手の入っていないエリアなんて日本ではそうそうなく、田んぼも畑もなんとなく自然の一部として眺めているのが実情だ。
この写真展では里山に注目していて、人の手が入った「里」も自然の象徴たる「山」の一部として捉えている。人も自然の一部ということを写真から訴えかけているのだ。
「自然との調和」という言葉をよく聞くが、この言葉には人と自然という対立構造が見え隠れしている。ありきたりな話になるが、自然は恐れ抑え込むものという西洋的な自然観が知らず知らずのうちに意識に刷り込まれているからだろう。
ただ、日本では多くの場合、自然の中で暮らし、その自然をいつの間にか変化させていた。無意識に存在するもの、相互に作用しあうものというのが日本の自然観となったと思える。
21世紀、この自然観は果たしてどう変化していくだろうか。