クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

カナディアンロッキー紀行④ーロッキー現わる

カナディアンロッキーと題しながら全くカナディアンロッキーが出てこない。これでは羊頭狗肉というか看板に偽りありになるのでそろそろ登場してもらおう。


バンクーバーから翌朝カルガリーに飛んだ。カルガリーからはBanff Airporterという予約制バスに乗る。

カナダのサービス業の人というのは相槌や了解を示す言葉が多彩な気がする。

“Perfect!”

“No problem!”

“Excellent!”

“Wonderful!”

このバスの運転手は乗客が乗り込むやペットボトルの水を配り、最初に

「前に乗っていた乗客がジュースを忘れたみたいなんだが、蓋は開いていない。誰か欲しい人はいるかな?」

とギャグをかました後、自己紹介と暑い寒いがあれば言ってくれと演説をしてからバスを発進した。


バスがカルガリーの郊外に出ると、途端に視界が広がる。「北海道のような景色」と言うとカナダに失礼だろう。北海道が「カナダのような景色」なのだ。地平線の先まで広がるような麦畑に牧草ロールが転がっている。

ぼんやりしていると地平線の先に白い一文字の線が見えてきた。一文字と言っても視界の左端から右端まで。視界が広いのでとんでもなく長い。日本アルプスをまとめて1つにしたかのようだ。足元は北海道で奥は日本アルプスである。


バスはカルガリーから2時間少々でキャンモアという街に着き、終点のバンフはそこから20分ほど。

私たちはキャンモアで降りた。降りた途端、冷気が頬を触れる。しかし、柔らかな日差しを受けているうちに慣れてきて、目の前にあったコンビニでサンドイッチを買って、ベンチに腰を下ろして食いつく。カナダはサンドイッチが美味い。穀物と胡椒の効いた肉の味がする。

目の前には上に白い雪を戴いた岩壁がある。クライマーならうずうずするに違いない。

カルガリーから私たちはカナディアンロッキーによって日本と確実に切り離された気がした。

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