クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

カナディアンロッキー紀行⑤ーキャンモアの意外

カナダ行きを決めた時は当初、ユーコン川で川下りをしてみたかった。野田知佑北極海へ』、『ユーコン漂流』や石田ゆうすけ『行かずに死ねるか!』でなんとも日本のセコセコした時間感覚からかけ離れたイメージがあり、ぜひともカヌーでの川下りをしてみたかった。しかし、相方が自由になるのは10月に入ってからで、カヌーはオフシーズンになるという。仕方がないから山でも眺めようと来たのがキャンモアだった。

 

キャンモアはカルガリーから行くとバンフの手前にある小さな街だ。小さいと言っても大型スーパーやお洒落な商店やギャラリーがあり、なかなか落ち着いたところだ。

街はボウ川の近くにある。上流にはバンフ、下流にはカルガリーが位置していて、カルガリーから来た私たちはボウ川を遡ってきたことになる。

街の周辺には川の作り出す湖沼が点在していて、周囲を取り囲む山々が水面に映り込んでいる。山の中でもThree sistersと呼ばれる山々が名前と形とも印象的だ。1つの山塊が雪崩によって削られ、3つのピークを持つ山に変わったらしい。その3つ切り立った頂上をsistersと呼んでいて、そのネーミングセンスはさすがだと感じる。
 

 

1日目はホテルに荷物を置き、ボウ川の周囲を散策した。川沿いにはトレイルがあり、散歩する人、走る人、自転車に乗る人などがたくさんいる。この街では屋外で風を受けることを楽しめなければ辛いだろう。

川があり、湖沼があり、その向こうに尖った山があり、上に青い空がある。それだけであり、それだけで十分である。観光客の一時の感傷に過ぎないとわかっていてもここで暮らしてみたいと思うのに十分な景色だ。

キャンモアのすごいところはどの角度からでもきれいな山が見える。日本だとこうはいかず、必ずある方向はビルの壁しか見えないということになる。特に川沿いにはいたるところにベンチがあり、何をするでもない人々がぼんやりまどろんでいた。

f:id:yachanman:20191027163059j:plain

左がThree sisters

キャンモアは街もいい雰囲気だった。通りが数本ほど交わるエリアに過ぎないのだが、雑貨、土産物、ギャラリーなどが並んでいる。

1軒の本屋に入った。入口近くにTシャツが積まれている。よく見ると、本の挿絵や言葉がデザインになっている。棚の本も、ベストセラーだけでなく、カナダの歴史、自然に関するもの、クライミングに関するものが多い。結局何も買わなかったが、ただ本を眺めるだけで街の雰囲気に触れた気がする。
 

ギャラリーもカナディアンロッキーや野生動物関連で統一されている。

1軒の店に入ると犬が寝そべっていて、私たちが入るや尻尾を振って向かってきた。この街にかかわらずカナダでは犬が犬として生活していない。ほとんど家族と同じ扱い。いや、働いていない分家族より上か。有閑階級というのか気のいい奴が多くて、人を見るなり吠えるようなことはしない。

 店の60くらいだろうか、白髪の主人が犬を呼んでリードにつなぐ。そして、写真を見ている私たちに解説を始めた。早口で正確にはわからなかったが、このギャラリーに飾られている作品は全部1人の動物写真家の作品であるらしい。

カナダやアラスカでは動物写真家は最も尊敬される職業の一つだと聞いたことがある。そんな動物写真ばかりのギャラリーがあるのもカナディアンロッキーの麓ならではだ。

f:id:yachanman:20191027162751j:plain

ギャラリーで購入した写真


 

 

 意外と言うと失礼きわまりないが、よかった。後ほど行くバンフのような完全な観光地というわけでなく、スーパーなんかもあり、地元の人の住宅地もある。生活の匂いがあり、かつ景色も最高。

あとは…と言うと、私の英語力だろうか。もう少し勉強してまた来よう。