クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

高天原「秘境」温泉の湯の色〜夏の雲ノ平山行⑥

山中3日目。いよいよである。いよいよ風呂に入りたくなってきた。

なにしろ初日はびちゃびちゃになるほど汗をかき、気持ち悪いので2日目は水で体をふいて着替えた。

過去5日間の稜線歩きをして、着替えなかったという「記録」があるものの、今はそんなガッツはない。そして今回の目的は「のんびり」。この日は雲ノ平に連泊して、日帰りで高天原温泉まで往復することにした。

高天原温泉は雲ノ平の北。水晶岳の真下にある。雲ノ平の下と言っても片道2時間半くらい、往復5時間くらいかかるので一日仕事となる。

今回は大量に食料を持参したので、山中の1日温泉旅である。

高天原温泉へはまず、雲ノ平小屋の近くの分岐から丘の上に上がる。雲ノ平は台地だが、場所によって起伏はそれなりにある。

鉄塔のような謎の人工物のある高台を目指し、そこからは高天原を目指してひたすら下る。高天原は川沿いにあるので、標高は2000m程度。雲ノ平は2500mくらいなので500mくらいは下ることになるのだ。

2300mを切ると樹林帯で、急傾斜となる。まあこの日の目的は温泉。呑気に下っていると、泥で足を滑らしてしまった。足首に嫌な痛みが走る。捻挫癖の足首を痛めたようだった。

時計の高度計が2000mになったところでようやく川が現れた。

そこからすぐかと思いきや、橋が現れ、木道がまた登場する。木道は湖沼の脇を通っており、なかなか幻想的だ。左には薬師岳がドンと見え、奥には赤牛岳の赤茶の斜面が迫って来る。

木道に入って30分ほど歩いてようやく高天原小屋に到着。もうここに泊まりたいと思う。

北アルプスでも秘境中の秘境という感じがする。何よりここはほとんどどん詰まりで、温泉がなければ来る目的は皆無に近い。ただそんなところでもわりと人は多かった。

温泉代は300円。小屋の前の箱に入れて、さらに温泉を目指して進む。

小屋から約30分。河原に湯気の立つ温泉がようやく現れた。湯舟は3つあるらしく、1つは女性専用であとは共用というか混浴というか。1つは覆いも何もない。

河原に4人ほど涼んでいるので、私は覆いのある共用、相方は女性専用。

湯は白濁でいわゆる温泉という感じだ。温度は意外とぬるくてちょうどいい。何がちょうどいいかと言うと日焼けがヒリヒリするので、熱い湯は避けたかった。結局、私が入っている間は誰も来ず、独りのんびり湯につかった。