最近、山岳ガイドでクライマーの佐藤裕介さんのインタビュー動画を見た。
現在のところ、現役クライマーでは最強と言っていい人だ。その彼も2019年に大事故を起こし、その後はモチベーションが低迷していたという。
登山家やクライマーと呼ばれる人で、とんでもない才能を持つ人は意外と
「自分より登れる人はいない」
と言うことはない。シチュエーションで登れるかどうかは変わってしまうし、登山の主体はあくまで自然だからだ。
ただ、「モチベーションだけは誰にも負けない」と言う人はいる。先に挙げる佐藤裕介さんがまさにそれで、常に燃料をくべ続けている機関車みたいな人なのだ。
しかし、そういう人も何十年も続けるうちに燃料切れになるものらしい。
翻って我が身を振り返ると、そんなに高いモチベーションで事に臨んでいるということは少ない。
マラソンも完走ならできるだろうけど、「3時間を切ろう」という意欲まではない。登山もいい加減なところでレベルアップが止まっている。今、興味があるのはなぜかお金と経済の歴史とかだが、だからと言って経済学者になるようなモチベーションもない。
なんというか現在迷走中なのだ。
佐藤裕介さんは、家のリフォームなんかをしているうちに吹っ切れたのだという。
未知を探求するためにクライミングをやっているのに、いつの間にか自分の理想像に近づくことが目的化してしまう。それが重荷になってモチベーションが切れてしまうようだ。
長年何かを続けていると「こうあらねば」というものが眼前に登場し、それに近づけない自分の無意識なプレッシャーとなってしまうことがある。がむしゃらに努力できるときはいいが、モチベーションが切れてしまうとそれを乗り越えることは簡単ではない。
禅では、しっかりと生活することを重視するのだという。炊事や洗濯なども重要な仕事とみなす。生活で心を整えることで、気力を充填しようということだろう。
世界の経営者そういう教えを聞いて禅に心酔するのかもしれない。
そんなわけで、休日の晩ご飯は私が作るようにしている。昨日はお好み焼き。
キャベツの千切りが心を整えていると信じたい。