クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

チャーハン道

ここのところチャーハンに凝っている。 チャーハンに凝りだしたのはもともと中華鍋を買ったからだ。

2017年の『岳人』で「ベースキャンプを楽しむ」という特集があり、「重さを気にしなければ中華鍋があればよい」という記述があった。その横には焚き火でチャーハンを作っている写真が掲載されており、「キャンプでチャーハン。キャンプでチャーハン」という魔術にかかった私は思わず中華鍋を探しに出かけていた。

 

ところが中華鍋はなかなか売っていなかった。イトーヨーカドーではフライパンはあるものの、底の丸い中華鍋はない。東急ハンズはどうかというとここも底の平らなIH専用調理具ばかり。

仕方がないのでネットで調べてみると、横浜中華街でシェア8割ともいう中華鍋があるのだそうだ。それは横浜市磯子の山田工業所という会社で製造されているもので、鉄板を職人さんがガンガン叩いて丸い形状に仕上げるという「ザ・日本のモノづくり」を体現したような商品だという。

実物を見たいが、なかなか売っていない。東京・合羽橋まで行くのも面倒だ、というより当時は横浜にいたので工場に行くのが早い。

とまで考えたものの、結局はものぐさが先だって、Amazonでぽちっとやってしまった。

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そんなこんなでチャーハンである。

美味しいチャーハンを作るには、まずは米が必要だ。炊き立てはあまりよろしくない。水分が多くてパラっとしたチャーハンにしにくい。一方で冷蔵庫に保存していた冷や飯なんかも良くない。一番良いのはちょっと冷めて適度に水分の飛んだご飯をレンジで熱々にしたものである。

具材は卵と葱。エビとかベーコンとかも好みで入れてもよいが、まず無難に成功させるには具は少ない方がよい。

あと、調味料は素早く投下できるように中華鍋の脇に控えておく。中華は早さが肝心なのだ。塩、胡椒と隠し味に粉末鳥ガラくらいがよい。味の素を入れるという人もいる。

 

スタンバイが終わったらいよいよタタカイの始まりである。

私は油を少し多めに入れる。多めとはどのくらいかと申すとお玉で半分くらいである。山田工業所製の中華鍋は鉄一点張りで、テフロンやフッ素加工のような焦げ付き防止はない。その代わり鉄は表面の凹凸に油が膜を張ることでくっつかなくなるので少し多めくらいが良い。

油からわずかに湯気が見えるようになったら溶き卵を入れる。溶き卵は1人前に1個程度。入れるや否や、ジュっと音がして鉄に触れた部分は薄焼き状態になり、真ん中はまだ液体の状態で残る。ここで素早くレンチンの熱々ご飯を投入する。

躊躇してはならない。躊躇しているとチャーハン作りはあっという間に卵焼き作りに変わってしまう。まだ液体の溶き卵の上にご飯をかぶせると、卵とご飯をガーっとかき混ぜる。ご飯は同じ箇所を長く鉄に触れさせるとたちまち焦げてしまうので、まんべんなく熱を入れるようにかき混ぜる。

そして次に用意した調味料をまんべんなく撒く。そしてまたかき混ぜる。

そして今度は葱を振りかけてまた混ぜる。炒め時間はおよそ5分に満たないくらいだろう。

ちなみに私が混ぜるのに使っているのは木のしゃもじだ。中華と言えばお玉という人もいるが、鉄とかステンレスのお玉は熱くなったりプラスチックが溶けたりするので安定の木のしゃもじを使っている。これなら中華鍋を傷つけることもない。

あとはできるだけ余分な水分を飛ばして完成となる。

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偉そうに講釈を書いてみたものの、上手にできたのは数回。特に具を多くしたりするとべっちゃり、水気の多いチャーハンになって不味い。

あと理想は焚き火で調理することで、これはまだ実現してない。キャンプ場で中華鍋を使って天麩羅などの揚げ物をやったことはある。野菜や魚を何でも天麩羅にしてこれはなかなか至福の時間だった。

河原キャンプでのチャーハンが目下の目標であり、椎名誠『怪しい探検隊』シリーズに登場するリンさんこと林政明さんみたく焚き火で華麗に中華鍋を振ってみたい。


やはり、中華鍋と中華料理は最強だ。10億人の人口を養ってきた道具と料理は格が違うのである。