6月に入ってすっかり梅雨となった。ここ数年は4月、5月は忙しく、その狂騒が収まると梅雨で外出も出来ずという悔しい思いをしている。梅雨の「梅」の字をりっしんべんにしたいくらいだ。
今年もいつの間にか梅雨入りして、ザーザー週末の度に降る雨を見ていると、外出できないストレスからか唐突なる物欲が湧いて、トレイルラン用のシューズを買ってしまった。
私にとっては通算3足目のシューズとなる。
買ったのはLA SPORTIVAのBUSHIDO2。
これを買ったのは新宿L-BREATHE 。まあ久しぶりに山を軽快に歩ける靴があればなあと向かった曇り空の土曜日。
最初は「定番は?」と訊いてコロンビア・サロモンのはバハシリーズを出された。試してみたものの、幅広・甲薄の私には先っちょがガバガバする感じがしていまひとつ。代わってLA SPORTIVA のLYCANを試すも同じ感じ。
これら2つはわりと同じタイプで、トレイルでもロードでも遜色なく走れるタイプなそうな。確かにランニングシューズと感触は似ている。ただ、私の足にはどうもフィットしない。
迷っていると、店員さんからLA SPORTIVA のBUSHIDOを勧められた。少々高いので躊躇したが、履くだけならタダなので履いてみる。
うーむ。これが一番いい。
そんなわけで衝動買いしてしまった。
しかし、シューズは眺めるためにあるのではなく、履いて、かつ走るためにあるので、翌週の日曜日さっそく使ってみることにした。
行ったのは奥多摩駅から鋸尾根を経て鋸山、大岳山、御岳山、日の出山と低山を渡り、武蔵五日市駅へ下山するルート。日本山岳耐久競争で毎年使われている部分もあり、日本でも最も多くのトレイルランナーが出没するエリアである。
鋸尾根に取り付いたのは午前6時過ぎ。前日の雨で岩は濡れているが、意外とぬかるんでいない。歩行者が多いので道が均されているのだろう。
さて、BUSHIDOだが、濡れた岩ではそこそこ滑る。ソールの感触はわりと固く、今流行りのVibram社のメガグリップのような柔らかいラバーとは異なる。しかし、乾いた岩では固いソールはかえって具合が良く、足の裏から突き上げるような感じはない。
鋸尾根はわりと急で、岩場も少々あるので走る感じではなかった。もっとも私にはまだトレイルランナーという意識はないので早足で歩くことくらいしか考えていなかったのだが。
大岳山を過ぎると平坦な道が出てきた。これなら走りやすいのだが、やはり走る気はあまりなく、スタスタ歩く。これくらい整備されたトレイルならむしろランニングシューズに近い方が走りやすそうだ。
試し履きをしたときに比較したのはColombiam montrailのバハダというモデルで、これはロード用と同じような履き心地だった。店員さん曰く、最近はロードを走るときのタイムを縮めるため、ロードもトレイルも両方使えるシューズが人気だそうだ。
そこをあえて逆らって買ったBUSHIDOは整備されすぎたトレイルでは固いソールが少しオーバースペックになっているような気がする。
御岳山はケーブルカーで登ることができるので多くのハイカーが訪れる。
ハイカーの多くはミッドカットかハイカットの軽登山靴を履いていて、それでこそオーバースペックのような気もするが、ちょっと遭難騒ぎでもすればマスコミはたちまち「装備不十分で遭難騒ぎ」とかき立てるからこれくらいでもよいのかもしれない。
この日の私の装備はトレランシューズに、6Lのトレラン用バックパック、水は500mlペットボトルを2本と1Lくらい予備の水、ソフトクッキーや柿の種などの行動食、ヘッドライト。ウェアは長そでのランニング用シャツにトレラン用の短パン、万が一のためのレインウェア(ジャケットのみ)。
テント泊に比べたら格段に軽い。御岳山から日の出山に向かうとランナーが増えて、この格好で走らないのはそれでこそ格好がつかないので走り始めた。
ここもかなり整備されているので、BUSHIDOはそこまで威力を発揮しないのだが、ぬかるみが増えると意外にも力を見せ始めた。
何のことかと思うかもしれない。BUSHIDOはラバーが固くて、濡れた岩ではわりと滑りやすいが、泥道では地面を良くつかむので滑りにくいのだ。
なるほどなるほどソールのパターンにはいろいろ特徴があるものだ。
日の出山から金毘羅尾根へ向かう。この道がやけにぬかるんでいた。ただ、ぬかるみで滑ることはあまりなく、わりと快調だったと思う。
ただ、金毘羅尾根の最後はコンクリート道になっていて、こういう道は走ると余計に疲れるので、結局歩いて武蔵五日市駅に向かった。
写真で見てもわかる通り、泥道に強い分、泥がソールにまとわりついて、舗装道路に泥の足跡を付けてしまった。
まとめると、LA SPORTIVA BUSHIDO2は、岩場△、整備されたトレイル〇、泥などの悪路◎、ロード×といった感じだろうか。
まだまだ私にトレランを語る資格はないのだが。