クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

朝食バイキングの罠ー長野・諏訪湖にて

最近は朝は小鳥の囀りで目覚める、というわけではなく、決まった時間に目が覚めるようになった。年をとって早起きになったのだろうなどと言わないでほしい。あくまで健康だからだ。
健康だからかどうかはわからないが、朝ご飯はたくさん食べる。どれくらいたくさんかと言うと、ドンブリで食べる。普通の飯茶碗だと昼くらいには腹がぐーぐー鳴って恥ずかしいし、力も入らないし、場合によっては低血糖で倒れそうになる。私にとっては朝食が身体の資本なのだ。
普段は好きなだけ食べるのだが、旅行に行って、特に朝食付きの宿に泊まっての朝食にはちょっとしたドキドキがある。なんのことはない、自分で決められないのだ。このホテルや旅館の朝食を悪く言う人もいるが、十数年自炊を続けていると、時々の外食朝食も嬉しくもある。
ただ、それも往々にして罠となることがあるのだ。

朝食は御膳にご飯と味噌汁ではなく、朝食バイキングというスタイルが最近は多い。私のような朝食大食漢もいれば、朝はトーストくらいという人もいるからだろう。好きなだけ食べられるのはありがたい。二十歳くらいの食欲旺盛かつ金欠気味の時代には重宝される。おかわり自由となると2杯は食べないと損をした気分になったものだ。
しかし、味はとなるとまあまあ、もしくは食べられないことはないくらい。過度な期待は禁物となる。ここのところ不味い朝食にぶち当たったことはないが、大概熱々ということはなく、まあ自分で作っても大差はないというくらいが相場となる。

先週泊まった諏訪湖のホテルは食券も出さずに朝食会場に通された。ホテル宿泊の段階で朝食付きなのだろう。扉をくぐると給食チックなトレイがあり、皿が並んでいる。
「メニューを見ないで皿を取る」というのが第一の罠だ。トレイのスペースには限界があり、後からどんな皿やカップが出没するかわからない。とりあえず私は大きな皿2つと小皿2つを取った。

最初は洋食だった。ソーセージ、スクランブルエッグが出ている。ソーセージ2本とスクランブルエッグひとすくいを入れる。
次に人参と蓮根の煮物。昨晩は食物繊維に欠けるメニューだったので、少し多めに。ついでにほうれん草の煮付け。和洋混在している。
次のテーブルに移ると焼魚が出た。タンパク質は身体の資源なので取る。生卵もある。卵かけご飯は私の朝の定番だ。納豆もあるけど、そろそろトレイがいっぱいなのでパス。
その他、生野菜や豚肉の冷しゃぶを取ると大皿2つもいっぱいになり、茶碗にキョンシーの映画みたいなご飯を載せて席に着いた。

席に着くと、中国人らしき観光客がドヤドヤと朝食会場に入ってきた。1人の女性は入るなり、並べられているメニューを観察し、後ろいる夫や子どもに何やら告げている。よくわからないが、彼らは洋食が食べたいらしく、トレイを取りに戻るなり、洋食コーナーへ突進した(悪気はないけど、バタバタ動き回る様は「突進」と表現したくなる)。
このあたりは私以上に朝食バイキング慣れした感じを受ける。最初に偵察するという発想はなかった。これなら敵の罠にもはまらないというものだ。
もっとも、敵とは何で罠とは何かはっきりしないのだが。

席に着き、味は…まあまあだった。
朝食バイキングで絶品を求める方が無理なのだ。3日何も食べずにここにたどり着いたらこの世の楽園を感じるに違いない。食べられるだけ幸せ。文句を言ってはいけない
それにしても飯茶碗が小さく、卵かけご飯にするのには往生した。卵をかけると飯の表面をつるりと滑ってテーブルに卵白を盛大にこぼしてしまう。しかもおかず過多ですぐにご飯がなくなり、大盛りで2杯食べてしまった。
バイキングの最後にデザートの杏仁豆腐があったが、トレイに載せるスペースがないので、パイナップルとオレンジをサラダの脇に添える程度にし、食後はコーヒーを飲んだ。

文句ばかり書いているようで、腹一杯食べていて、ありがたい話で、自分でも何が言いたいのかわけがわからない。
前の記事でも書いた。観光メインの旅行は腹が減らない。これは登山やらマラソン大会旅行との対比であって、こちらの方が一般的であるはずなのだが、私にとっては観光の方がイレギュラー行事にあたる。こういう旅行に限って豪華絢爛、暖衣飽食になり、普段の質素倹約、一汁一菜の腹いせとばかり、がっつくわけだ。
しかし、それも罠である。腹一杯にしてからバスで諏訪大社に行った。土産物屋のお姉さんがガイドをやってくれて、「お帰りの際は名物のところてんをどうぞ!」と言われても胃袋に入るスペースはなく、桔梗屋信玄餅アイスを食したいと思えど、昼食前なので諦めざるを得ない。
どうせなら早起きして諏訪湖の周りを走るべきだっただろうか。

f:id:yachanman:20190712221429j:plain

写真は本題とは全く関係ない。朝食後に見物した諏訪大社である。