クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

ホテルの食事どろぼう

先日から帝国ホテル東京に出入りすることがあった。

別に威張るような話ではなく仕事だ。


帝国ホテルクラスのところになるとパーティーやお別れ会が頻繁に行われる。

特にお別れの会は故人を偲ぶものなので、大抵は誰でも入ることができるようだ。企業の元重役なんかはどこでどんな知り合いがいるか、本人以外にわからないから、主催者側はノーチェックでどんどん通してしまう。

そんなお別れの会を狙って食事やお土産を頂戴して帰る輩がいるらしい。

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一流ホテルは一流の場所にあるのだから、来るには電車賃がいる。まさかそんなセコい人間がタクシーで来るわけないし、近辺に住んでいるとも考えにくい。

片道250円として往復500円。いちいち出かけるくらいならコンビニでのり弁でも買えばいいのに。


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そんな人たちが一流ホテルに出入りするのは、食べ物だけが目的ではないのかもしれない。

確かに一流ホテルともなると、肉も寿司も一流。いいものを使っている。ただ、バカ舌の私なんかは駅前のクイーンズ伊勢丹の惣菜と何が違うのかわからなかった。

違いは結局のところホテルスタッフがどんな人にも王侯のように接するところか。ホテル側は少々怪しい人間でも不法行為をしているわけではないので、優しく丁寧に、仕事として応対する。

それがいいから「どろぼう」たちは再び一流ホテルの扉をくぐるのだろう。


「どろぼう」たちが盗んでいるのは食事ではない。

一流ホテルの一流のもてなしと他人に少し優しくされることなのだ。