クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

今年を幸せにしてくれた言葉たち

2020年も終盤。

流行語大賞は「3密」となったらしい。なんとも寂しい。その他もコロナ関連ばかり。

「ソーシャルディスタンス」なんて未だに意味をはっきりわかっていない。「鴨川の等間隔カップル」は心理学的な「パーソナルスペース」が影響しているようだが、唐突に現れた「ソーシャルディスタンス」はわかっている人がどれくらいいるのだろう。

他にも「アツモリ」なんて聞くから織田信長の愛した能楽「敦盛」かと思ったら、コロナの巣ごもりで「集まれ動物の森」が人気なんだとか。家で「敦盛」を踊るのかと思った*1

 

そんなこんなで暗い言葉ばかりを話題にしても仕方がないから、今年、私を明るくしてくれた個人的に印象的な言葉を紹介したい。

 

①前の彼氏は彼女ができたらキャッチボールをするのが夢だったらしいんだ。

コロナ騒動真っただ中。久しぶりによくしゃべったのは相方がカナダで知り合ったという友達。30代と思われるが、年齢不詳でエネルギッシュな雰囲気で溢れている女性である。

彼女が前の彼氏と付き合いだした頃、彼氏はキャッチボールがしたいと言い出した。このかわいらしい申し出を是として2人でグローブとボールを携えて公園に赴く。ところが彼氏はこの後意外な出来事に遭遇する。

新しい彼女を気遣ってふわりと優しく投げる彼氏。それに対する返球は唸りをあげて飛んできた。

「うっ、上手いね」

「まあね。やり投げやってたから」

彼女は学生時代にやり投げの選手をやっていて、モデルの照英なんかとも練習を共にしていたらしい。

唸りを上げる球は、矢のよう、ではなく槍のように飛んできたのだった。

(半ば想像を交えて記述しました)

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眠たくなって空いてる会議室を探す会社員みたい。

先週、井の頭動物園に行った。私は夏にも行っていて、この時は暑くて動物がぐったりしているか、屋内に引きこもっていた。

今回は涼しくなって夜行性の動物以外は活発に動いている。

 

アナグマが活発、せわしなく動いていた。

活発に活動というより逃げ場所を探しているようである。そうは言っても広さは4畳半くらいしかないスペースではすぐに壁にあたってしまう。奥の巣穴は塞がれていて中に入れない。お客さんが来ているのだから営業してこいということか

せわしなく居心地の良い場所を探すアナグマを見て、一緒に行った友人の旦那が言った。

「眠たくなって空いてる会議室を探す会社員みたい」

みんな一緒に笑った。しかし、笑うということは心当たりがあるということだろう。

アナグマが哀愁漂うサラリーマンに見えて、少しシンパシーを感じる動物になった。

 

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羽生結弦はトンカツなんか食べへんのやろなあ。よかった好きなもん食べれて。

 先のアナグマをうまく評した旦那君とその妻は登山者カップルだ。先だっても我が家に来て私の作ったチャーハンをもりもり食べていて、よく食べよく動く夫婦である。

 

先日鎌倉にあるご自宅にお邪魔し、みんなでNHKフィギュアスケートをなぜか見ていた。フィギュアスケートもどんどん新しい世代が出ていてもはや誰も知らない。全盛期が十代という業界だから新陳代謝が激しい。

十代で全盛期というのは体重と身体のバネのバランスなのだろう。成長期を迎え、筋肉質に、重くなっていくとなかなか高く飛べないし、速く回ることもできない。

30歳を過ぎて全盛期を迎えることが皆無というスポーツは少し残酷すぎる気がする。

我々は好き勝手に「(顔が)幼いなあ」とか「反骨精神のありそうな安藤美姫は好きだったなあ」とか話していた中、登山者妻が突然言った。

羽生結弦はトンカツなんか食べへんのやろなあ。よかった好きなもん食べれて」

食べることの好きな彼女らしい言葉で爆笑となった。

彼女は100kmマラソンを2度完走するくらいの一般アスリートであるがストイックに鍛えているつもりはないらしい。

楽しいから走る、食べたいから食べる。遊びたいから働いているのであってストイックになりたいわけではない。

 

今年のコロナ、自粛の雰囲気を吹き飛ばす私にとって最大の名言を残してくれた。

*1:星野源が「うちで踊ろう」と頑張ったけど結局それほどみんな覚えてないみたいね