今、相方の勤める学校に「天才少女」がいるらしい。
小学生ながら数学Ⅱ・B、つまり高校数学ができるのだという。そのことが天才度としてどの程度かは凡人たる私にはさっぱりわからないので、単純にすごいとしか言いようがない。
そうなると通常の学校ではなかなかうまくいかず、結局退学することとなったらしい。
天才というのは最近ではギフテッド(gifted)、つまり授かりものと言うらしい。日本語で言えば「天賦」といったところ。
日本史上で天才と言えば誰か。
前近代では、聖徳太子、空海、源義経、織田信長、本因坊算砂、葛飾北斎。適当に挙げたけど、政治家や武将といった人は難しい。事業上の判断がすべて個人から出ているかわからないから。しかも、後世の記述によって評価がころころ変わる。
また、10人の話を一度に聞いたり(聖徳太子)、杖を突いたら水が湧き出たり(空海)されてしまうとどこまでを史実としてよいかわからなくなる。
その意味で間違いなく天才というのは葛飾北斎くらいか。作品の実物が残っているところが説得力として大きい。囲碁将棋は後の人の方が強いのは当然なので、単純に比較は難しいだろう。
中国には隋の時代から天才発掘機関として「科挙」があったことからすると、中国史は天才が築いてきた歴史である。
日本での「天才」の特徴は、名を残した人物が少ないことにある。
天才と言われる人物はたいていが宗教家や芸能人で、なかなか歴史の表舞台に立つことがない。思うに日本の前近代は食料生産と土地争奪の歴史だから、天才を必要としなかったのではないだろう。
現代はどうか。
相変わらず日本では天才といえば芸事くらいにしか思われていないのではないだろうか。学校では個性の尊重を掲げながら生きづらい環境を天才たちに強いているようだ。
一度その天才少女と話してみたいなと個人的に思っていたりしている。