そろそろ雨の季節となる。ゲームの季節とも言えそう。
私の実家にはファミコンのようなテレビゲームの類は一切なかったので、ゲームと言えばボードゲームやカードゲーム。将棋、チェス、モノポリー、トランプ、UNO、花札などなどの古典的ゲームが定番で、中でも時折家族でやる人生ゲームが楽しかった。
人生ゲームは簡単に言えば金持ちを争うゲームだ。それだけ聞いたらなんともつまらんゲームなのだが、人生ゲームの歴史はなかなか面白い。
タカラトミーのホームページによると1968年の初代は本家アメリカ版が基礎となっている。代表的なコピーは以下のとおり。
・牧場のあとつぎになる
・火星から使者がきた
・高級車ロールスロイスを買う
・羊がとなりの家のランを食った
・ヨットを買う
火星人と羊が同列というところが素晴らしい。というか火星から使者が来るような人物がせこせこ金持ちを目指すだろうか。
2代目になると
・TVのゲームショーで勝つ
・南極観光旅行に参加する
・潜水中に財宝を発見する
・ウラニウム鉱山を発見する
・エベレスト登山成功
エベレストが成功の証になるあたりが時代を感じる。一方で南極は観光とは。三極点の扱いに差が大きすぎるぞとツッコミを入れたい。
ただ、いずれのコピーもスケールが大きいことだけは間違いない。
「夢はBIGに行こうぜ!」
という雰囲気が伝わってくる。
ちなみに私がやっていたのは母親が実家から持ってきたもので、3世代目。タカラトミーの説明によれば日本的な要素を取り入れたということだが、代表的コピーはこちら。
・たずね猫を見つけ飼い主にわたす
・お世話になった人達にお歳暮を送る
・正月休みに4泊5日のスキーツアーに行く
・ノーベル賞を受賞する
・先祖代々の土地を売る
ノーベル賞はBIGなのだが、スキーツアーとなると庶民的。日本的となるとスケールダウンが否めない。
確か職業は医者、弁護士の給料が高かった記憶がある。定期収入が少ないのに散財を繰り返すマスに止まると「うひー」となったものだった。
こういうゲームによって少年少女は「将来は安定した収入の職業に就こう」と誓うのである。
やったことないけど平成版の最後はこんな感じらしい。
・TV番組にビデオ投稿したら採用された
・スノーボードで骨折
・子供がテレビCMのオーディションに合格
・どこがよいのかわからないが、近代芸術品を買う
・無人島を買い、別荘を建てる
身の丈に合ったというか、全て現実的になった。
ネタは面白い内容なんだけど夢がなくなってきたのは世相のせいだろうか。
タカラトミーの令和版人生ゲームはお金ではなくフォロワーを集めるらしい。「人生お金じゃない」ということなんだろう。
しかし、フォロワーを集めて「いい人生」でしたということになるのかはちょっと疑問だ。今の子どもは本当にそれがしたいことなのだろうか。
こんな時代だからこそ、ゲームの中でくらい「ぶっ飛んだ」人生を送らせてほしい気がする。