クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

もし他の人生を選べたら

雨の時期だし、最近は本の話題が連続している。

今はサイモン・シン『数学者たちの楽園:「シンプソンズ」を作った天才たち』を読んでいる。

サイモン・シンの本は科学の魅力を非常にわかりやすく書いていて、『フェルマーの最終定理』を読むと数学者になりたくなるし、『宇宙創成』を読むとなぜ物理学者にならなかったかと頭を抱えることになる。

家族は文学部3人と工学部2人ということで真っ二つに割れていて、私は文学部サイドなのだが、工学部もよかったかも(実力はともかく)と思ったりしてしまう。

それでは何になるべきだったかというとわからないし、40前後となった今でも何かに転向できるんじゃないかと、その辺は楽観的に考えている。

わが弟なんかはそこそこ劇的で、最初は医師を目指していた。どうやら精神科医を目指していたらしい。国語・英語が大得意で、物理・数学が苦手なのになぜ、と周囲が驚いていると、高校2年で諦めて文学部を受験した。そして精神科医志望は哲学者に大きく舵を切り今に至っている。

ただ、哲学者と言ってもデカルトみたいに「我思う、故に我あり」とかはやっておらず、書いた論文は意味不明の数式ばかり。どうやら今は苦手だったはずの数学みたいなことをやっているらしい。

180度転換して再び180度回っている。

 

さて、ここまで全く触れなかったがサイモン・シンの『数学者の楽園』。

これは数学オタクの脚本家たちがアニメ「シンプソンズ」に数学ネタを散りばめていく話である。「シンプソンズ」はアメリカで見たような記憶もあるが、7歳の頭では全く理解できなかった。数学者が細かいネタを詰め込んでいるのだから、それもそのはず。しかも、あのシュールなアメリカンジョークが日本男児にわかるはずがない。

それはともかく、数学者がアニメの脚本家になるというあたりがアメリカの面白さと言えるかもしれない。日本では「思い込んだら試練の道を~」で初志貫徹することをヨシとする。ただの興味本位なら趣味にすればいいという考えが大半だ。

アメリカはほとんどが移民の国だ。みんな身体一つでやって来ている。なりたいものになっていくという文化が根付いている。

もし他の人生を選べたら何になるだろうか。作家?発明家?画家?

それはもしかしたら、これからなるものかもしれない。