『英国一家、日本をおかわり』を読んでいる。
これは『英国一家、日本を食べる』の続編(続々編かもしれない)で、イギリス人の筆者が日本のあちこちを家族を連れて旅行し、土地土地の美味いものを食べるというわかりやすい構成だ。
前作ではわりと高級なところも行っていて、服部栄養専門学校の服部幸應おすすめの店とか、素人がなかなか行けないところにも行っていたのが、今回はわりと庶民的となっている。
海苔とか佃煮なんかは日本人なら当たり前の料理(と言っていいのかな)だが、イギリス人には当然珍しい。それと、なによりイギリス人らしいシニカルな視点とユーモアも面白い。
出島では、極東まで来て閉じ込められたヨーロッパ人がやたらに強調されている。確かに地球を半周近くも回って、やってきたら猫の額ほどの埋め立て地に閉じ込めるのだから、これはちょっとした悲喜劇でもある。
少し前にYouTubeでやっていたナショナルジオグラフィックでも屋久島の食が取り上げられていた。どうも日本を語るうえでは、もはや経済大国とか、産業大国を言うことはなくなり、極東のヘルシーで何でも食べてしまうグルメの国という扱いになっている。
一昨年、カナダに行った際はインド料理、中華料理、ギリシャ料理、多国籍料理(韓国・中国・ヨーロッパの組み合わせ)なんかを食べた。全世界的に食の多国籍化が進み、その中で日本が占める地位はもはや自動車産業以上なのだろう。
正直な話、日本にいてよかったことは食についてである。
先週、鯖や金目鯛の刺身を食べた。最近は外食しないので少し高いものを食べる傾向にあるのだが、日本に残るのは食しかないのではないかと感じたりする。
それしかないのも寂しくはあるのだが。
まあ、全人類「色即是喰う」なのだから、食が生きることを支えている以上は、美味いものを食って生きていきたい。