クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

ITリテラシーとスマートフォン

2020年の大学新卒者の特徴に「ITリテラシーが高い」とあった。

常に新しい技術への対応力があるのは若い人だし、今の20歳くらいの人はガラケーなんか知らず、最初からスマートフォン。まあスマホの扱いには長けているだろう。

 しかし、それだけでITと言えるのか?リテラシーとは読解力のことだぞ。それが本当に高いんかいねぇと疑問に思う。

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フレッド・ボーゲルスタイン『アップルvs.グーグル:どちらが世界を支配するのか』を読んでいる。

 二社とも世界を席巻しているマンモス企業。時価総額から言えばマンモスどころかウルトラサウルスくらい。とにかく史上最大の規模になっている。

そのアップルがiPodで音楽の世界を変え、iPhoneが携帯電話の概念を変え、iPadがメディアのあり方に一石を投じた。一方のグーグルはアンドロイドによるプラットフォームの制圧を図り、アップルとの激しい抗争を繰り広げる。

現代の最先端技術の姿が現れている。

 

そんな最先端の勝負が描かれている本書なのだが、いざ製品を使うとなると取扱説明書がいらないくらいわかりやすい。

かつて実家でパソコンを買い換えると、セットアップは半日がかり。だいたいセットアップの仕方なんてすっかり忘れた頃に買い換えるのだから、分厚い説明書を見ながら家族総出で「あーでもないこーでもない」とやっていた。かつてのパソコンはとにかく難しかった記憶しかない。

そんな経験をしているだけに、ITリテラシーが高いと言われても何が高いのかさっぱりわからなくない。

 

この『アップルvs.グーグル』を読み進めると、いかに初期のiPhoneであったりアンドロイドが不完全な製品だったかわかる。

ジョブズがデモンストレーションをしたiPhoneは電話、インターネット検索、マップの閲覧などの手順を間違うだけでフリーズするくらいだった。私の父はなぜか初期のころのiPhoneを持っていて(会社貸与)、電池はなくなりやすいし、ミスタイプしやすいキーボードだった。

それでも出してしまおうというところがすごい。完璧主義な日本企業にはできないだろう。

しばしば日本企業はなぜ革新的な商品を出せないのかという議論になる。そうすると理系が少ないとか、プログラミングの授業がないとなんでいう議論になる。

しかし、ITリテラシーなんていう問題ではない。理想の商品を思い描いて、「えいや!」と発売してしまう度胸が最も足りないんじゃないかと私には思えてしまう。