クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

死ぬまでに行くべき日本の絶景三選②

昔から三選というのが多い気がする。

平安時代の三筆、三蹟、寛政の三奇人、オリンピックのメダルも3つまで。なぜ3つとなるかはわからないけど、おそらく覚えるのに都合がいいからだろう。これが権力がらみの話となると、ローマの五賢帝、京都・鎌倉の五山と枠が広がる。3つでは足りなくなったのかもしれない。

それはともかく、勝手に絶景三選の2つ目の紹介。

 

②大杉谷

日本三大渓谷というものがある。富山・黒部峡谷、新潟・清津峡と三重・大杉谷とされていて、アクセスが少々悪いせいかあまり知られていないのが大杉谷である。

大杉谷は紀伊半島大台ヶ原の東に位置する渓谷で三重県にある。もともとは鉄道会社が観光地として開発しようとした経緯があり、風光明媚では知られていたが、吊り橋の落下事故などが発生したことで、観光地としての歴史は断たれてしまった。今は基本的に登山者のみが入れるところとなっている。

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道は整備されているが

公共交通機関で行く場合、JR三瀬谷駅から予約制のバスが出ている。

観光地となるはずだったので、道は整備されている。ただ、この大杉谷は日本で一番の降水量を誇るエリアでもあり、常に雨とスリップに気を付けなくてはならない。

私が行った時も下山中にスリップし、崖下に落下した人がいた。大杉谷の奥に位置する桃の木小屋まで数時間かかるので、体力的に余裕がないと事故が起こる可能性が高くなる。

危険なところは鎖が付いているので、注意すればまあ大丈夫。足元が岩場というところが多いので、岩稜帯の歩き方に慣れている方がいい。

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大杉谷のシシ淵とニコニコ滝

そんなこんなの困難を乗り越えて谷の奥に進むと、ハイライトはシシ淵とその奥に見えるニコニコ滝である。

黒部峡谷のような両岩壁の反り立つ圧迫感はないものの、未踏の渓谷を行く探検隊のような気分を味わえる。決して秘境ではないのだけど、秘境感が溢れているという意味では私の中では一番だった。

大杉谷は多くの人がマイカーでアクセスして途中で引き返すという方法を取るが、谷から尾根を登って大台ヶ原に行くこともできる。Valley to Summit。

5年ほど前に行ったけどまた行ってみたいと思った日本の絶景だった。