唐突にとんでもないテーマを掲げてみた。きっかけは岡田斗司夫チャンネルのYouTubeを見て、アポロ計画に興味を持ったことにある。
宇宙開発競争の当初、ロケットや宇宙服は銀色にデザインされていたらしい。B29がジュラルミン剥き出しだったように、20世紀は銀色に輝く力強い時代というわけだ。
それが、アポロ計画が進行するうちに瞬く間にロケット、宇宙服とも白に変わった。白は特に清潔感を意識したわけではなく、鉄より軽いプラスチックが開発されたことによる。
軽くて丈夫。今や我々はプラスチックに囲まれて生活している。
その時代の最先端技術は概ね戦争に使用されることになっている。
探検や登山業界では、ウールなどの天然素材からナイロンやポリエステルに服装が変わり、金属は鉄からアルミやジュラルミンに変わった。ヘルメットも鉄からプラスチック。このあたりはアポロと同じである。
アルミ・ジュラルミンの次に注目されたのはチタン。私が今持っている鍋や、相方のスプーンなんかはチタン製だ。かつてはチタン製のクランポンやピッケルもあった(ミゾーのピッケルは今でもチタン)。
チタンはアルミより軽いと思われがちだが、実は同じ容量あたりでは重い。ただ、チタンは薄く伸ばすことができる上に、しなりがあるので結果的にアルミと同じ強度を出した場合に軽くなる。それと変性しにくいので金属アレルギーが少ないと言われている。
いいことずくめのチタンではあるものの、最大の欠点は精製が難しいことにある。原材料のチタン元素は地中に無限とも言われるくらい埋まっているらしい。
しかしながら、ロケットや飛行機の原材料にならないのはコストが未だ高いのがネックなのだろう。一時、チタン製の自転車なんかもあったが、フレームだけで50万円以上もしていた記憶がある。
チタンの次に来るのは何か。
登山や極地探検でジュラルミンより丈夫で軽いとして使われているカーボンファイバーがそれだろう。登山用ストックなんかにはすでに使われている。
欠点は劣化すると突然折れるということで、実際に折れた話は聞かないのだが、紫外線に弱いらしい。アルミポールの場合、ひん曲がっても使えるのだが、折れたら話にならない。
ただ、今では天然ガスの圧力容器や自動車、飛行機なんかにも使われているという。壊れることが許されない宇宙開発ではまだまだのようだが、ロケットや人工衛星に使われるようになれば一気に使用用途が広がるだろう。
もしかしたらカーボンファイバーのクランポンなんかも出てくるかも。
登山を続けていると、技術に対して保守的かつ革新的という状況が生まれてそれだけで楽しかったりしている。