これまでの雪山体験は過酷だった。
初めての雪山は奈良の薊岳に登った時で、明神平というところで雪中泊をした。夜はすき焼きをしたものの、寝袋が薄くてこのまま寝たら死ぬんじゃないかと思った。
その後も雪中泊は幾度となくやってきたが、快適ということはまずない。いくら暖かい寝袋を用意しても、鼻は冷たいしテントは凍るし、トイレには極力行きたくない。
それが今回は山小屋。いや山小屋というよりコテージ。いやいや、やはり「ころぼっくるヒュッテ」の名称通りヒュッテか。
しかし、コテージは英語、ヒュッテはドイツ語なだけで、どれも山小屋を指すだけだ。なんと表現したらよいのだろう。
スノーシュ・ハイクで思いがけず時間のかかったわれわれは、ヒュッテに戻ると風呂に入れさせてもらった。冷えた指先に血が通う。
風呂はささっと済ませ食堂で夕食の準備に入った。食堂ではなんと暖炉が燃えている。
食堂で全員が風呂に入るのを待ちながらすき焼きを準備。
先日買った遠藤商事のフライパンに近所のスーパーで買ったA5級のすき焼き肉。カセットコンロを持ってくるのを忘れたため、登山用ストーブしかなく、フライパンがツルツル滑るというのが想定外。誰かが箸を出す時は誰かがフライパンの把手を支えなくてはならない。
私のすき焼き流儀は、まず肉を砂糖だけで焼き、野菜を入れて割り下を注ぐ。そして蓋をせずに野菜の水分が落ちるのを待つ。これがベストの方法かわからないが、肉がよかったせいか、環境がよかったせいか最高に美味く感じた。
友人夫婦がすき焼きに合うというワインを持ってきてくれた。和食には日本酒派の私だが、すき焼きにそのフランス産ワインは合う。と言っても銘柄はさっぱりわからないのだが。
ついでに私の持参した泡盛「多良川」。これはかなり辛口。好みを言うと宮古島で飲んだ「菊乃露」の方が甘口で好きだった。
どんどん食べて、どんどん飲んで。締めはうどん。みんな動けないくらい腹いっぱいに食べたらもう9時近くになっていた。
部屋でまったりする間もなくみんな布団に入るとパッタリと寝てしまった。