クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

植村冒険館に行ってきた

蒸し暑い週末、板橋区にある植村冒険館に行ってきた。

植村直己の記念館は兵庫県豊岡市と東京都板橋区にある。私にとって少々恨みなのが、15年前に板橋の冒険館に行ったら、展示物入替中とやらでほとんど何も見れなかったことだ。さらに、その翌年に豊岡の植村直己冒険館に行ったら休館日だった。

以来、憧憬の冒険館である。

 

行ってみると前回、15年前と大きく違う気がする。場所も違う。

1階にプールやスポーツジムがあるきれいな建物で、3階が冒険館。どうやら去年新築した区の建物に移転してきたらしい。

展示物は多くない。おそらく豊岡の冒険館に大半があり、板橋は一部の私物や周囲から寄付されたものだけなのだろう。ただ、映像は妙に凝ったものもあって楽しかった。

植村直己は冒険家である。冒険家という職業や肩書は正式にはないが、この肩書に合う人物はこの人しかいない。

その真骨頂を示す冒険を挙げるとすれば、アマゾン川を筏で下った旅と、北極圏1万2000kmの犬橇の旅だ。

アマゾン川の旅はほとんど思い付きとしか言いようのない旅で、文字通りアマゾン川を筏で下っている。『青春を山に賭けて』では金がないなどの動機を書いてあるが、金がないなら帰国して働いた方がいい。本当の理由は「なんとなく面白そう」だったからではないか。

北極圏1万2000kmは北極点到達に隠れて目立たない冒険だが、2回も越冬し、1年半も北極圏を犬橇で移動している。角幡唯介さんに言わせると、2度も極夜の暗闇を過ごすのは「人格破綻者」らしい。

2つの冒険の特徴は「意味がなさそうだけど凄い」ことだ。逆に意味があれば凄くないと言えるかもしれない。

意味なく夢中になる力。これが植村直己の真骨頂だと言えるかもしれない。