クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

北アルプスの笠に登ろうと思うまで〜笠ヶ岳山行①

海の日を利用して笠ヶ岳へ行ってきた。

「どこじゃい?」と思う人もいるだろう。場所で言うと岐阜県穂高連峰の西にある。文字通り笠のような形をした山で、北アルプスの一部に入るものの、とんがった形なので独立峰に近い形状になっている。

遠くから見ても顕著なピークなので、これまでも登ってみたいと思ったことはある。しかも百名山の一つにも数えられる。しかし、なぜ登らなかったのか。

一つに笠ヶ岳が主要な縦走路から逸れていることにある。北アルプス槍ヶ岳穂高岳の主脈、槍ヶ岳から東西に伸びる東鎌尾根と西鎌尾根、薬師岳黒部五郎岳を結ぶ稜線、白馬岳と鹿島槍ヶ岳を結ぶ不帰キレットと八峰キレットなどなど、何かしらの峰が連なっている。

対して笠ヶ岳双六岳の南にあるものの、ポツンと離れていて、どうもセットでは行きづらい。しかも単独で登るルートである笠新道は、つづら折りの坂で辛そう。

ということで、今日まで行こうということにならなかった。

昨年、双六岳から見た笠ヶ岳

ただ、今回思い立ったのは、三連休のうち、初日は相方が仕事だったので、後半2日だけで行けそうだったこと。それと『山と渓谷』の編集長だった萩原浩司氏が若いころに笠ヶ岳に傾倒していたという話を読んだからだ。

それと、笠ヶ岳は播隆上人が開山し、笠ヶ岳から望む槍ヶ岳を見てこちらの開山に挑むというエピソードの残る山でもある。播隆上人は江戸時代後期、天明の時期の人で、浄土宗の僧侶である。なんで浄土宗の僧侶が山に登る必要があったのかわからないが、とにかく笠ヶ岳はそういう由緒ある山なのだ。

これは登らねばならないということで、無理やりこじつけて夜の新宿都庁駐車場に向かった。

(つづく)