クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

ブロッケンを見たことありますか?

奥穂高岳登山は絶景とはいかなかった。天気予報はそれなりによかったのだが、2日目の頂上付近はずっと曇っていて、最後まで晴れることはなかったのは残念。

その代わりに見たのがブロッケン現象で、初めての相方は興奮していた。私は何度か見ているので淡々としていたのだが、こういう反応は人それぞれで面白い。

「あー、また出た」という人。「わー、いいもの見れた!」という人。雷鳥に対する反応と近いものがある。

 

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今回、奥穂高岳で見たブロッケン

 私が見たのはおそらく4度目くらい。

初めては同じく奥穂高岳登山の時で、7年ほど前。残雪期に涸沢にテントを張り、2日目に頂上を往復して下山した時のこと、真上を見上げると円形の虹がかかっている。しばらくすると虹は二重になり、再び一つになって消えた。

 あまりの不思議にポカンとしていたら、日差しで顔がメチャクチャに焼けてしまった。

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これまた涸沢で見た不思議な二重虹

 次に見たのは冬の八ヶ岳

年末に美濃戸口から赤岳展望荘を目指す途中、稜線で雲に巻かれた。年末のことなのでトレースははっきりしていて、迷うことはない。ただ、展望が失われたことに少しがっかりしていると、足元に突如虹が起きた。ブロッケンである。

この時、ブロッケンとは自分の姿が光を拡散して起きるということを知った。なるほど虹が仏様の後光のように輝き、神々しいばかりに見える。

興奮して写真を撮る私に対して、同行の友人は淡々としていた。見慣れているのだろうか。

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冬の八ヶ岳で見たブロッケン


3度目は夏、鹿島槍ヶ岳から五竜岳への縦走、八峰キレットを行った時の朝方見かけた。

「おーっ!」という私に同行者はこれまた淡々としている。1人が興奮しているともう1人は冷めるのかもしれない。この時は天気予報が悪かった間隙を縫っての登山だったので、余計にラッキーと感じていた。

 

さて、今回は雲が晴れそうで晴れない中、ブロッケンが出た。正面の槍ヶ岳を眺めつつ背後のブロッケンを見る。忙しく前後を見渡した。

晴れはしなかったが、山に浸れるという意味でブロッケンは山屋にとって吉兆なのかもしれない。