クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

会社を辞めるということ

最近、4年目を迎える社員がワラワラ辞めている。

私が入社して3年くらい経ったときもそれなりに人は減っていたが、これほどまでではなかった。それも会社の待遇に不満があって辞めるとか、人間関係に苦労してとかなら過去も結構あった。

だが、聞けばそういうわけでもないらしい。結婚を機に引っ越すので近くの職場を探すとか、在宅勤務OKの会社を探すとか、経営コンサルタントを目指すとか、etc。

結婚して遠くに引っ越すというからどこかと思ったら、以前私が住んでいたあたり。うーむ。

あるいは在宅と言っても、IT企業に勤める知人から「全部在宅での完結は難しい」と聞く。転職先でも結局出社することになるんじゃないか。うーむ。

おそらくこれは今の世代との就職に対する感覚の違いだろう。

私の世代までは正社員になれば御の字、卒業直前に内定取消に遭った同級生もいた。

「とりあえずアルバイト契約で、そのうち正社員にしてやる」なんていう酷い募集のかけ方をして、結局安い賃金でこき使うという会社もあったらしい。

私も会社に依存するという意識はない。むしろ会社なんて都合が悪ければ採用を減らしたり社員を簡単に切り捨てるもんだとドライに考えている。

しかし、アルバイトから正社員になるのは難しいという認識はあるし、自分に何か「武器」となるものがないと転職は難しいと思ってしまい、辞める方にはかなり慎重になってしまう。

そこでいくと、ここ何年かで会社勤めに対する意識は徐々に変わってきたということだろう。

 

ただ、これは「大人の論理」のしっぺ返しなんじゃないかと思う。

就職氷河期と言われた時代に

「大人の世界は厳しいんだからな。会社もこれから実力主義だしドライだかんな」

と言っていたら、若手社員の方がドライになって辞める時は辞めてしまうという事態になってきている。そこで慌てて「これからはエンゲージメントが重要」と奔走しているのだろう。

「大人の論理」には、自分の育った世代の価値観やその時々の都合が混じっている。就職氷河期の時期は若者に厳しく当たり、現役世代の雇用を守った。それが今度は仇となっている

有為転変。永久に正しい論理はない。これを思い知る今日この頃である。