クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

もしも会社がなくなったら

またしても休日出勤。

もはや去年から定番化していて、もともと休日が何日付与されているのかわからない。かと言ってそんなに仕事が好きでもないのだからまいってしまう。

宮田珠己さんはサラリーマン時代に、ある日突然会社が消えていて、

「そんな会社ここにあったかねぇ?」

と道行く人にいわれないかなあと夢想していたようだ。しかしながら、現実にはそんなことは起こりえず、相変わらず会社の社屋がドンと建っていてがっかりしていたという。

今の私も似たようなことを時々考える。

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山一証券が経営破綻した時だっただろうか。テレビの記者が社屋の前で待ち構えて、山一の社員に

「これからどうされますか?」

と不躾な質問を繰り返していた。多くは逃げるように立ち去って行ったが、中には途方に暮れた表情で

「まあ、とりあえず家族会議でしょうか」

と答えているのが印象的だった。

きっと今までは愚痴も言いつつ通っていたのが、いざ倒産となるとどうしていいのかわからなくなるらしい。

 

沢木耕太郎のエッセイの中で、登山家山野井泰史さんが

「突然会社が倒産して途方に暮れる人は会社が倒産することを想像していなかったからではないか」

と語っている。

今は上場企業の場合は業績を開示する義務があるし、突然ということはないだろう。ただ、それでも今まで自分の自由を縛ってきたものがなくなると、多くの人は想像していなかった「自由」が重しとなって身動きができなくなるのかもしれない。

今いる会社でも定年再雇用を希望する人が多いが、金を稼ぎたいというより辞めて何をしてもいい自由を持て余したくないというのが大きい気がする。

 

さて、もしも会社がなくなったらどうするか。

理想は家賃の安いところに引っ越して、釣りや山菜採りで支出を抑えつつ、投資運用で日銭を稼ぐ。今はなかなかできない勉強もしたい。

ただ、親族の手前をあるから再就職せよという圧力もあるだろうな。自由業で生きていくというのはまだまだハードルが高い。その葛藤に耐えられるかが問題だ。

そんな日が来るのだろうか。