クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

円安と清貧日本

先週末、美術館でゴッホ展を見に行き、その前の時間つぶしに新宿の石井スポーツを覗いた。

このところ毎度驚くのが商品の質の高さ、というだけでない値段の高さ。私が以前に買ったLA SPORTIVAのトランゴ・タワーはなんと6万円の後半になっていた。

3年前に私が買った時は4万円くらいだった。

私がわずか10ヶ月アメリカに住んでいたのはもう30年以上前。1990年頃だった。

その頃、日本はバブル経済の最末期だったようなのだが、アメリカ人の日本人像は戦前と変わらないものだったようだ。

母親は日本から来たと話すと「船でか?」と訊かれ、「飛行機で」と答えると怪訝な顔をされていた。さらに私が半ズボンを穿いていると、貧しくて長ズボンも穿けないのかと勘違いされ、「Donation(寄付)しよう!」と言って本当にズボンをもらったりした。

 

わが家は「バブル日本」とは無縁の生活を送っており、特に「貧しい日本」のイメージに卑屈になるでもなく暮らした。

父は教授が奢ってくれるというので「レストランで一番高いロブスターを注文したった」そうな。われわれ一家は余計にプアな日本人を印象付けた気がする。

考えてみれば当時は1ドル130円ほど。ただ、急激に円高が進んでいた頃で、実感のないまま「豊かになっていた」時代だ。それでもアメリカには1人1台の自家用車があり、コードレス電話(日本はプッシュフォンがようやく出てきた)があり、天井にはシーリングファンがあった。

今は1ドル150円ほどになった。あの時代より貧しくなったとも言える。

再び「清貧日本」に戻るのだろうか。

しかし、私にとっては山道具がいちいち高くて困ってしまう。