クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

バブルに戻りたい?

野口悠紀雄戦後日本経済史』を読んだ。

戦後というタイトル通り、話は終戦から始まっている中で、バブル崩壊について多くの紙面が割かれている。

10年以上前にバブル懐古が流行った時期があった。それに対する憤りが垣間見える書きっぷりが印象に残った。

 

今になって当時の世相を読むと確かに狂っている。

過剰接待が当たり前になり、それは民間から官公庁を巻き込んで大規模に行われた。企業も学生を囲い込むために、内定者を海外旅行に連れて行ったりしていたらしい。私の時のように圧迫面接とやらはなかったのだろう。好景気だからドカドカ入ってちょうだいということか。

 

自分がバブルの時どうだったか。

振り返るとわが家は無縁だった。1DKに家族4人で寝ていたし、父親は研究職で景気に左右されにくい業界にいたので、日々慎ましく生活していた。

1989年というバブル真っただ中に家を建てているが、祖父母との同居だったので土地は買っていない。さらに新築してからはますます慎ましく暮らすようになった。

バブルによって恩恵も災禍をなく子ども時代を過ごしたのはある意味幸せだったのかもしれない。

バブルによって「失われた30年」がもたらされたという。「失われた20年」だったものがいつの間にか30年になってしまった。

この30年は意識として保守的になったと思える。ただ、それはバブルによる反省が日本全国に浸透したわけではなかったようだ。

もやもやとした恐れから、今まで以上に変化を恐れるようになったと言える。その結果、既存の価値観は温存され、30年間の低迷を迎えたのだ。

もう一度バブルが訪れても日本は再び同じ道を歩むような気がしている。