クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

人生に詰まないためには

何年か前にYouTubeの人生相談か何かで「人生に詰んでます」という言葉を聞いた。

「ほう、そんな言葉があるとは」と感じつつも違和感なく聞き流したのは、私が将棋を知っているからだろう。相手の駒が迫り、「次は詰まされる!」という息苦しさが伝わってくる。

ネット情報によると2019年頃からSNSを中心に広がったというから、将棋界の「藤井フィーバー」のタイミングかもしれない。

ただ、将棋を見ていて感じるのは「詰む」のは相手の駒だけが原因でないことが多いということだ。

確かに終盤、不利になると敵兵が迫り、自玉は裸にされ、刀折れ、矢尽きという具合になる。しかし、最後に「詰む」という段階になると自軍の駒が退路を断っていることが多い。

相手の駒は取れるが、自駒は取れないというルールなので、いざとなると玉は裸でいた方が相手の包囲をぬるりとかいくぐることができるのだ。

 

そう考えると、「人生に詰む」という言葉についても考えさせられる。「詰む」のは自分に妙なしがらみとかプライドが退路を断っているからじゃないだろうか。

時に、というか多くの場合、周囲の人は味方になってくれるし、プライドも自分を守る盾になる。

しかし、本当に危機が迫った時にそれらはかえって自分を追い込む。周囲の目を気にしてメンタルのバランスを崩したり、プライドが邪魔をして今の状況から逃げ出せなかったり。

人生に詰まないためには時に自分の余分な持ち物を捨てることではないかと思ったりする。