クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

東京という砂漠で生活する

日々、オフィスの窓から遠くを眺めているとなんだかとんでもないところにいるような気がする。

宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』を読む。

内容はともかく、冒頭の文章に非常に共感した。宮田珠己さんは関西出身で、就職して初めて東京に来た。その際、最初に住んだ調布の寮から遠くを眺めると、どこまでも平坦な街が続いていて、呆然としたというのだ。

関東出身の人からすると、理解できないかもしれないが、大阪や神戸だと生駒山か六甲山が見える。生駒山の奥には古都・奈良があり、六甲山の奥には有馬温泉や宝塚などの秘境感溢れる観光地がある。

関東はどこまでも茫漠とした景色で、想像力を搔き立てられる起伏がないというのだ。

私も就職して浦和に2ヶ月ほどいた時は、休日に何をしていいかわからずに啞然とした。

ちょっとランニングしてもちっとも景色が変わらず、そのうちどこを彷徨っているのかわからなくなる。広いがゆえの閉塞感。まるで荒野に置き去りにされたような感覚を味わった。

そんなこんなで、浦和から広島に赴任し、今度は横浜に戻って、今は東京郊外に住んでいる。今住んでいるところも、やはり起伏の少ないエリアではあるが、緑が適度にあって、それは気に入っている。

ただ、散歩をしていてすごく楽しいかというと、それは微妙だ。どこまでも「のっぺり」とした砂漠のような景色に飽きて時々山に行きたくなる。