蒸し蒸しする日が続いている。
暑い日と言えば怪談。そう言えば夏になぜ怪談なんぞやるのだろうと調べたら、江戸時代、芝居小屋で暑くて客入りの悪い夏に怪談物をやるとウケたというのが元らしい。
なるほど「番町皿屋敷」や「四谷怪談」なんかは全部江戸時代に制作されている。怪談は平和な時代の娯楽だ。
まあ、物騒な時代にはお化けより怖いものが多いから、わざわざ怪談なんか聞かなかっただろう。
ここで又聞きになるけど、山の怪談を1つ。
現在は登山ガイドをされているさる方が若い頃の話。谷川岳、一ノ倉沢の下にテントを張って、翌朝のクライミングに備えて寝ていると、夜中に足音が迫って来た。ずいぶん遅い時間に上がって来たなあと思っていると、足音はテントの周りを歩き出した。
「なんだなんだ、何の用事だ」と思うものの、怖くて声も出ない。隣にいる相棒は眠ったままだ。そのうち、足音は止まり、ベンチレーションからテントを覗き込んでいるような気配があった。
翌朝、眠っていたと思っていた相棒も同じ足音と気配を感じていたと知った。
谷川岳は遭難者世界一の山で、この手の話はかなりあるらしい。
最近読んだこの本にも似たような話が書いてあった。
他人の話を聞くのはいいけど、自分はあまりそういう体験をしたいと思わない。