クモノカタチ

山から街から、雲のように思いつくままを綴ります

BLUE ICE YETI 50をレビューしてみる

ゴールデンウイークに二泊三日で北アルプスを縦走してきた。上高地から蝶ケ岳、常念岳大天井岳、燕岳に繋げて、夏にはまあまああるコースではある。天候が持ちそうなので、残雪期にそれを持ち込んだ次第で、それほど目新しいものではない。天候の安定した3日間を選んだので、山行は滞りなく終わった。体力が落ちていて途中で滞るというかあきらめて下山しようかと思ったのは1度や2度ではなかったが、とりあえず今は完遂できたことに満足している。

 

さて、今回いつもと違うバックパックを持って行った。BLUE ICEのYETIというモデルである。

BLUE ICEというメーカーは日本では馴染みがない。フランスで2008年設立というからまだ新進だと言える。フランスのバックパックと言えばMillet(もちろんミレーね)がエヴェレストの世界初登頂から鳴らしているわけで、私も実物を見るまで全く知らなかった。

見た目は極めてシンプルなクライミング用で、華美なオプションはなく好感が持てた。ちなみに、本製品は私が購入したわけではなく、今回は所有者の了解を得て持ち出したものだ。さらに断りを入れると、ヘルメットも借用したが、こちらは了解を得ていない気がする(ごめんなさい)。

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上高地にて、荷物パンパン


 今回使用したYETIというモデルは50L。軽量化に慣れたクライマーなら十分な容量だろう。私はクライマーではないが、冬でもこれでなんとかなりそうである。

 

1つ問題があるとすれば、1気室で形は寸胴型。つまり、上から底部までほぼ同じ太さであることだ。

私は最低部にシュラフ、その上にクッカーや着替え、加熱の必要な食料や予備の手袋を入れ、その上にテント、最上部に水や行動食というパッキングにした。ただ、中間部に隙間ができてしまい、最上部はパンパン。なかなかパッキングに苦労した。

普段使っているpatagoniaのascensionistは底部が小さく、上部が広いので、上から押しこむことが容易なのに対して、このYETIはいったん入れてしまうと内部の収まりを調整することができなかった。

少し慣れの必要な玄人向けと言えるかもしれない。

 

バックパックの構成はいたってシンプルだ。

雨蓋があって、開けると下の写真のようになっている。ナイロンベルトと紐で上部を閉めることができる。

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雨蓋をはずとこんな感じ

シンプルなようで、ナイロンベルトで脱いだ上着を挟み込むこともできるし、紐は引っ張るだけで閉まる方式(プラスチックのつまみを操作する必要がない)なので、片手で操作ができる。

今回、風は穏やかだったのだが、シビアな環境ならより恩恵があるだろう。

 

背負い心地はまあまあというところだろう。

ライミング用なので、肩パッドもウェストベルトも少し華奢なので、体全体に密着させるようにすれば荷重が分散する。背中は意外としっかりしているし、汗でべとつくこともない。

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バックは意外としっかりしている

ただ、背中の大きさが合うかどうかでかなり背負い心地は変わると思う。背面長が合わないと肩にだけ荷重がかかる恐れがあるので、万人には合わないかもしれない。

 

ポケットは3ヶ所付いている。雨蓋の裏と表に1つずつ、雨蓋の下の本体に1つ(1枚目の写真でピッケルと装着している先あたり)。雨蓋の表側はコの字型に開くジッパーで物が取り出しやすかった。開けっ放しにすると落としやすいとも言える。

本体のポケットにはレインカバーを入れてみたが、内部に入れたものが飛び出すのであまり使えない。せいぜい手ぬぐいなどの厚みのないものを入れるべきだろう。

ちょっと改善してほしいのはピッケルやストックを付けるゴム紐。毎度感じるのだが、ゴム紐ではブラブラする恐れがある。そこまで軽量化しなくてもと感じるのは私だけだろうか。

あとはサイドのナイロンベルトがやや短い。THERMARESTのマット(ショートサイズ)がギリギリ挟める程度なので、レギュラーサイズは無理。エアマットを使えということか。

 

いずれにしてもなかなか良かった。もうちょっとパッキングを考えればより使い勝手がよくなるだろう。というのだが、これは借り物なのだ。